01結論(判断の軸)
教育訓練給付制度は、雇用保険の受給資格を満たし、かつ受講したい講座が厚生労働大臣の指定を受けている場合に限って検討する価値がある制度です。制度の存在そのものを理由に学習方法を決めるのは順番が逆です。
判断の軸は2つだけです。1つ目は、自分が受給資格の要件(雇用保険の加入期間など)を満たしているかどうか。2つ目は、受講したい講座が指定講座として登録されているかどうかです。この2つを先に確認してから、給付を前提にするかどうかを決めてください。
なお、WEBMARKSが提供する講座が指定講座に該当するかどうかは、本記事の執筆時点で確認できていません。該当の有無は、後述の検索システムで講座名を検索して確認してください。
この制度は、あくまで「厚生労働大臣が指定した講座を受講・修了すること」を前提にした仕組みです。独学のように、決まった講座を受講しない学び方は、そもそも対象になりません。学び方を制度に合わせるのではなく、自分に合った学び方を先に決め、その学び方が制度の対象範囲に含まれるかを後から確認するという順番で考えてください。
02比較対象の整理(表)
教育訓練給付金は、対象となる教育訓練のレベルに応じて3種類に分かれ、給付率が異なります(出典:厚生労働省、2026年8月8日時点で編集部が確認)。
| 種類 | 給付率 | 上限額 | 対象となる教育訓練 |
|---|---|---|---|
| 一般教育訓練給付金 | 20% | 10万円 | 雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練 |
| 特定一般教育訓練給付金 | 40%(資格取得+就職で追加10%、計50%) | 20万円(追加時25万円) | 速やかな再就職・早期のキャリア形成に資する教育訓練 |
| 専門実践教育訓練給付金 | 50%(資格取得+就職で追加20%、賃金上昇で追加10%、計最大80%) | 年間40万円(加算時最大64万円、最大3年間で192万円) | 中長期的なキャリア形成に資する教育訓練 |
専門実践教育訓練給付金の80%までの加算は、令和6年10月1日以降に受講を開始した場合に限られます。それより前に受講を開始している場合は、賃金上昇による追加支給の対象外です。
対象となる講座は、いずれも厚生労働大臣が個別に指定したものに限られます。3種類のどれに該当するかを含めて、任意の教材や講座が自動的に対象になるわけではありません。
03判断基準1〜5
判断基準①雇用保険の受給資格要件を満たしているか
在職者の場合、受講開始日の時点で雇用保険への加入期間が3年以上であることが基本の要件です。ただし、過去に教育訓練給付金を受けたことがない人は、加入期間の要件が短縮されます(一般・特定一般は1年以上、専門実践は2年以上)。
離職者の場合は、雇用保険の資格を喪失した日(離職日の翌日)から受講開始日までが1年以内であることも条件に加わります。この期間を過ぎると、加入期間の要件を満たしていても対象外になります。
判断基準②受講したい講座が指定講座かどうか
厚生労働省は「教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム」を公開しており、学校名や講座名で検索できます(出典:厚生労働省)。受講を決める前に、この検索システムで対象講座かどうかを確認してください。
指定講座は毎年4月1日と10月1日の年2回更新されます。検索結果に表示されても、指定期間が受講開始日をまだ含んでいない場合があるため、指定期間の欄も確認する必要があります。
判断基準③給付のタイミングと資金繰り
給付金は、受講費用を先に自己負担で支払ったあとに、一部が戻ってくる仕組みです。給付を前提に受講費用の資金計画を組むと、実際に振り込まれるまでの期間、手元の資金が不足する可能性があります。
一般教育訓練給付金は修了後にまとめて申請しますが、専門実践教育訓練給付金は半年ごとに申請する仕組みです。給付が分割で入る点も、資金繰りを考えるうえで押さえておく必要があります。
支給額にも下限があります。一般教育訓練給付金・特定一般教育訓練給付金は、算出した額が4千円を超えない場合、支給されません。少額の講座を検討している場合は、給付を前提に考えるほど得にならない可能性があります。
判断基準④手続きの負担をどう見るか
特定一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金を受けるには、受講開始前にハローワークの「訓練前キャリアコンサルティング」を受け、ジョブ・カードの交付を受ける手続きが必要です。この手続きは、受講開始日の2週間前までに済ませる必要があります。
一般教育訓練給付金には、この事前手続きはありません。手続きの負担を小さく抑えたい場合、対象となる講座の種類によって手間が変わる点も判断材料になります。
判断基準⑤資格取得や就職という追加条件を狙うかどうか
特定一般・専門実践では、受講修了後に資格取得や就職といった条件を満たすと、給付率が上乗せされます。この加算を狙う場合、受講後の行動(資格試験の受験、修了後1年以内の就職活動など)まで見据えて計画する必要があります。
加算を狙わず、受講費用の一部を取り戻すことだけを目的にするなら、修了時点の給付だけで判断しても構いません。どこまでを狙うかによって、受講後にやるべきことの重さが変わります。
専門実践教育訓練給付金で最大80%の加算を受けるには、資格取得や就職に加えて、訓練修了後の賃金が受講開始前と比べて5%以上上昇している必要があります。この賃金上昇の要件は、令和6年10月1日以降に受講を開始した人に限られます。狙う加算の水準が高くなるほど、満たすべき条件も増えていく仕組みだと理解しておいてください。
04ケース別のおすすめ
在職中で受給資格を満たし、受講したい講座が指定講座として見つかった場合は、制度の利用を検討する価値があります。ただし、給付は受講費用の一部にとどまり、全額が戻るわけではない点は理解しておく必要があります。事前の申請手続きも発生するため、受講開始までの準備期間には余裕を持たせてください。
独学中心で、決まった講座を受講する予定が無い人には、この制度は使えません。教育訓練給付金は「指定講座を受講して修了すること」が前提の制度であり、書籍や無料教材による独学は対象外です。
受給資格の要件を満たさない、あるいは学びたい内容に対応する指定講座が見つからない人は、無理に対象講座に合わせて学習内容を選ぶ必要はありません。給付の有無より、自分に必要な学習内容を優先したほうが、遠回りを避けられます。
給付を狙うために、本来受けたい講座とは違う指定講座を選ぶという判断も、慎重に考える必要があります。給付で戻る金額より、学習内容が目的に合っていないことによる遠回りのほうが、結果として大きな損失になる場合があります。
学び方そのものを独学にするかスクールにするかで迷っている場合、判断材料は制度の対象かどうかだけではありません。まずは『Webマーケターは独学と学校どちらか、5つの判断基準で決める』で、自分の適性を確認しておくことをおすすめします。
指定講座の中には、修了時に民間資格の取得を伴うものもあります。資格の種類と実務での評価のされ方は『資格の種類と実務評価、Webマーケターはどう見られるか』で扱っています。給付の加算を狙って資格取得を目指す場合は、あわせて確認しておくと判断しやすくなります。
05FAQ
WEBMARKSのスクールは教育訓練給付制度の対象になりますか
本記事の執筆時点では確認できていません。対象講座かどうかは、厚生労働省の検索システムで講座名を検索するか、ハローワークに直接確認してください。
独学のオンライン教材は対象になりますか
基本的に対象外です。教育訓練給付制度は、厚生労働大臣の指定を受けた講座を受講・修了することが前提であり、任意に購入した教材や書籍は対象になりません。
給付金は受講前に受け取れますか
受け取れません。受講者が教育訓練施設に費用を支払ったあと、修了後(専門実践は半年ごと)に申請し、給付を受ける仕組みです。先払いの負担は自分で用意しておく必要があります。
過去に給付を受けたことがある場合、また利用できますか
受講開始日の前日から3年以内に教育訓練給付金の支給を受けたことがある場合は、支給されません。3年以上の間隔をあけていることが条件です。
専門実践教育訓練を受講中に失業している場合、他の支援はありますか
一定の要件を満たすと、教育訓練支援給付金として、失業状態にある期間について雇用保険の基本手当日額の一部が支給される仕組みがあります(令和8年度末までの暫定措置)。対象は専門実践教育訓練(通信制・夜間制を除く)の受講者のうち、受講開始時に45歳未満であることなど一定の要件を満たし、訓練期間中に失業状態にある人に限られます。支給率は、令和7年4月1日以降に受講を開始した場合は基本手当日額の60%、それより前に受講を開始した場合は80%です。
給付率の高い専門実践教育訓練を選べば、それだけ得ですか
一概にはそう言えません。専門実践教育訓練は中長期的なキャリア形成を目的とした講座が対象で、受講期間も長くなりがちです。給付率の高さだけで選ぶのではなく、その講座で学ぶ内容が自分の目的に合っているかどうかを先に確認してください。
対象講座を検索しても、Webマーケティング関連の講座が見つかりません
見つからない場合、その時点で候補にしている講座は指定を受けていない可能性があります。検索システムは分野・資格名でも絞り込めるため、キーワードを変えて確認するか、ハローワークの窓口で相談する方法もあります。