01この記事でできるようになること

副業でWebマーケターとして継続的に案件を抱えている状態から、ポートフォリオを更新し続ける具体的な頻度と、追加すべき項目が分かります。クライアントの許可確認の手順、実績の掲載形式を選ぶ判断基準までを扱います。

ポートフォリオの更新は、単価を上げる・案件数を増やす・継続契約にするという3つのレバーを動かすための材料の1つです。3つのレバーの全体像は『Webマーケター副業、月10万から30万へ伸ばす3つのレバー』で扱っています。

初めてポートフォリオを作る段階の内容は、この記事では扱いません。まだポートフォリオを1つも作っていない場合は『学習用ポートフォリオ、独学Webマーケターの作り方』を先に確認してください。

02前提(対象読者・必要な準備)

対象読者は、少なくとも1件の案件を継続的に受けており、初回に作ったポートフォリオがそのまま更新されずに残っている副業Webマーケターです。

準備するものは、これまで担当した案件の一覧と、それぞれの契約時に秘密保持契約(NDA)があったかどうかのメモです。NDAの有無が分からない場合は、契約書や発注時のやり取りを見返してください。

03手順1|更新するタイミング(トリガー)を4つ決めておく

ポートフォリオを更新する4つのトリガー ポートフォリオを更新するきっかけになる4つのトリガーを時間軸に沿って並べた図。案件完了時・四半期の定点更新・単価交渉や継続提案の直前・新規開拓の提案直前の順に配置している。 ポートフォリオを更新する4つのトリガー 思い立ったときではなく、決めたきっかけで更新する トリガー1 案件完了 直後 記憶が新しい うちに記録 トリガー2 四半期の 定点更新 3か月ごとに 見直す トリガー3 単価交渉・ 継続提案前 交渉材料 として使う トリガー4 新規開拓の 提案直前 直近の実力 を伝える 1つに絞らず、案件完了時の記録を土台に交渉・提案の直前に見直す組み合わせが現実的です
ポートフォリオを更新する4つのトリガー(案件完了時・四半期の定点更新・単価交渉や継続提案の直前・新規開拓の提案直前)を時間軸で示す図

ポートフォリオの更新は、思い立ったときにまとめて行うものではありません。あらかじめ決めた「きっかけ」が来たときに行うものとして扱うと、途切れずに続けやすくなります。多くの副業Webマーケターが使いやすいきっかけは4つあります。

1つ目は案件が完了したタイミングです。納品直後は担当した業務範囲や成果を最も正確に思い出せる時期であり、記憶が薄れる前に記録しておく価値があります。

2つ目は四半期ごとの定点更新です。案件の完了を待たずに、3か月に一度など決まった周期で振り返る機会を設けておくと、長期契約中の案件も取りこぼさずに反映できます。

3つ目は単価交渉や継続契約への切り替えを検討する直前です。値上げ交渉のタイミングと考え方は『副業Webマーケター、初回単価から値上げ交渉するタイミング』で扱っています。交渉の材料としてポートフォリオを使うなら、交渉前の更新が欠かせません。

4つ目は新規開拓の提案を出す直前です。提案書の作り方は『提案書の通過率が上がる構成、Webマーケター案件の作り方』で扱っています。古い実績のまま提案すると、直近の実力が伝わりにくくなります。

4つのトリガーのうち、どれか1つだけに絞る必要はありません。案件完了時の記録を土台にしつつ、交渉や提案の直前に見直すという組み合わせが、実務では現実的です。

04手順2|追加する項目を決める(表で整理)

更新のたびに何を書くかが定まっていないと、記録が後回しになりがちです。次の5項目を、案件ごとに埋める形を基本にしてください。

5項目に絞っているのは、書く手間を最小限にして更新を継続しやすくするためです。項目を増やしすぎると、案件完了直後の忙しい時期には埋めきれず、結局は更新が止まってしまいます。

項目書く内容注意点
業務範囲担当した施策(SEO記事制作・広告運用・分析等)具体的な作業内容まで書く
期間・規模契約期間、対応した記事数や広告予算規模など個別の金額は書かない
使用ツール使用した分析・制作ツール名社外秘のツールは書かない
成果数字で示せる範囲の変化誇張せず、示せる根拠がある範囲に留める
関わり方単独対応か、チームの一員かなどの立ち位置誤解を招く表現を避ける

成果の欄は、数字を出せる場合でも、誇張した書き方をしないでください。「大幅に改善」のような曖昧な表現より、示せる範囲の変化を正直に書くほうが、後から聞かれたときに説明できます。

05手順3|クライアントの許可とNDAを確認する

実績公開の可否を判断する分岐 秘密保持契約(NDA)の有無から始まり、社名公開の可否、数値公開の可否を順に確認して、実名公開・社名のみ伏せる・全て伏せるのいずれの形式で掲載するかを判断するフロー図。 実績公開の可否を判断する分岐 NDAの有無から3段階で確認する NDAはあるか 契約書で確認 無い ある 実名公開が可能 社名・数値ともに掲載 社名を出せるか確認 クライアントへ個別確認 出せる 不可 社名のみ伏せる 業種・規模で匿名化 全て伏せる 業務範囲のみ記載 どの経路でも、担当した業務範囲そのものは具体的に書きます
実績公開の可否を判断する分岐(NDAの有無・社名公開の可否・数値公開の可否)を示すフロー図

ポートフォリオへの追加を進める前に、確認すべき重要な点があります。秘密保持契約(NDA)の有無です。契約書に秘密保持条項がある場合、クライアントの許可なく社名や具体的な数値を公開すると、契約違反になるおそれがあります。

確認する順番は3段階です。まずNDAの有無を契約書で確認し、次に社名を出してよいかを個別に尋ね、最後に数値を出してよい範囲を確認します。許可が取れない場合でも、業種や規模を匿名化した形で実績として記載できることがあります。

許可の確認は、案件が完了した直後に済ませておくと、後から連絡を取り直す手間を減らせます。継続中の案件についても、更新のタイミングで念のため確認しておくと安全です。

実績の掲載形式3パターン(架空の例)

以下は架空の例です。実在の企業名・個人名ではありません。許可の状況に応じて、掲載形式を使い分けてください。

パターン1|実名公開が許可された場合

○○株式会社様|SEO記事制作(月8本)を6か月間担当。キーワード選定から構成案作成、執筆まで一貫して対応しました。

パターン2|社名は伏せるが数値は公開できる場合

ITサービス企業様(従業員50名規模)|広告運用代行を4か月間担当。月間広告予算30万円規模のキャンペーンで、指定KPIに沿った運用を行いました。

パターン3|社名・数値ともに伏せる場合

BtoB企業様|コンテンツマーケティング支援を継続中。記事制作から効果測定までを一貫して担当しています。

3パターンとも、担当した業務範囲そのものは具体的に書いています。社名や数値を伏せる場合でも、何をしたかまで曖昧にすると、実績として伝わる情報が乏しくなります。

06手順4|古い実績の扱いを決める

案件数が増えてくると、ポートフォリオに載せる実績をどこまで残すかという問題が出てきます。すべての案件を並べようとすると、情報量が多くなりすぎて、読み手が全体像をつかみにくくなります。

直近の実績を優先し、業務範囲が重複する古い実績は代表的な1〜2件に絞る形が扱いやすくなります。専門領域を広げてきた場合は、領域ごとに代表例を残すという整理の仕方もあります。

WEBMARKSの集計では、案件獲得者の70%以上が2案件以上を獲得しています。対象期間は2020年から2025年です(出典: 案件獲得データの集計)。複数案件を並行して抱える状態が珍しくないことを踏まえると、実績を取捨選択する場面は多くの副業Webマーケターにとって早い段階で訪れると考えられます。

更新履歴を管理する記録表(架空の例)

どの案件をいつ更新したかが分からなくなると、取捨選択の判断がしづらくなります。以下は架空の例です。実在の企業名・個人名ではありません。表計算ソフトなどに、この4列だけを記録しておくと、後から見返しやすくなります。

案件(仮称)最終更新日掲載形式次の見直し予定
A社(SEO記事制作)2026年5月社名のみ伏せる契約更新前(2026年11月)
B社(広告運用代行)2026年3月全て伏せる四半期定点(2026年9月)
C社(コンテンツ支援)2026年7月実名公開案件完了時

記録表は凝った作りにする必要はありません。案件名・最終更新日・掲載形式・次に見直すタイミングの4つが分かれば、更新の抜け漏れをかなり防げます。

07つまずきポイント(失敗例つき)

ポートフォリオの更新で、繰り返し見られるつまずき方を整理します。

1つ目は、NDAの確認をせずに実績を公開してしまう型です。契約違反につながるおそれがあるだけでなく、クライアントとの信頼関係も損ないます。公開前に確認する習慣を、案件ごとの手順に組み込んでください。

2つ目は、更新を先延ばしにして、いざ交渉や提案の場面で古い実績しか手元にない型です。案件完了時に簡単なメモだけでも残しておけば、この失敗は防げます。

3つ目は、成果を誇張して書いてしまう型です。後から詳しく聞かれたときに説明できない数字を書くと、かえって信頼を損ないます。

4つ目は、すべての案件を並べようとして、情報過多になる型です。読み手が知りたいのは案件の網羅性ではなく、今の実力が伝わるかどうかです。

08完了の確認方法(できたかどうかの判断基準)

ポートフォリオの更新ができているかどうかは、次の3点で確認できます。直近の案件が反映されているか、NDAの確認を経ているか、読み手が業務範囲を具体的にイメージできる書き方になっているかです。

更新前と更新後のポートフォリオの差分 更新前と更新後のポートフォリオを比較し、直近案件の反映・NDA確認・業務範囲の具体性という3つの観点で、反映されているべき差分を示す図。 更新前と更新後のポートフォリオの差分 完了の確認方法・3つの観点で比較する 更新前 更新後 直近の案件が反映 × 直近の案件が反映 ○ NDA確認済み × NDA確認済み ○ 業務範囲が具体的 × 業務範囲が具体的 ○ 古い実績のまま 交渉・提案にそのまま使える 3点がそろって、初めて更新が完了した状態といえます
更新前と更新後のポートフォリオを比較し、反映されているべき要素の差分を示す図

3点がそろっていれば、単価交渉や新規開拓の場面でそのまま使える状態です。値上げ交渉の進め方は『副業Webマーケター、初回単価から値上げ交渉するタイミング』で扱っています。提案書の作り方は『提案書の通過率が上がる構成、Webマーケター案件の作り方』をあわせて確認してください。

  • 直近の案件が反映されている
  • 案件ごとにNDAの有無を確認済みである
  • 業務範囲・期間規模・使用ツール・成果・関わり方の5項目を埋めている
  • 成果の記述に誇張がない
  • 掲載形式(実名・社名のみ伏せる・全て伏せる)を許可の範囲に合わせて選んでいる

09FAQ

ポートフォリオはどれくらいの頻度で更新すればいいですか

一律の頻度はありません。この記事で紹介した4つのトリガー(案件完了時・四半期の定点更新・交渉前・提案前)のうち、自分の状況に合うものを組み合わせてください。

NDAがある案件は、ポートフォリオに一切載せられませんか

必ずしもそうとは限りません。社名や数値を伏せ、業種や業務範囲を匿名化した形であれば、掲載できる場合があります。個別の契約内容は自分で確認してください。

成果の数字が出せない案件は、載せない方がいいですか

そうとは限りません。数字が出せなくても、担当した業務範囲や使用したツールを具体的に書くだけで、実力を伝える材料になります。

実績が増えすぎたら、全部載せた方がいいですか

情報が多すぎると、かえって読み手に伝わりにくくなります。直近の実績や、専門領域ごとの代表例に絞って掲載するほうが、伝わりやすい場合があります。

ポートフォリオの更新に決まったフォーマットはありますか

決まった形式はありません。この記事の手順2で紹介した5項目(業務範囲・期間規模・使用ツール・成果・関わり方)を目安に、自分の状況に合わせて調整してください。

クライアントに許可を求めるタイミングはいつがいいですか

案件が完了した直後が、最も確認しやすいタイミングです。継続中の案件についても、更新のたびに念のため確認しておくと安全です。

更新を忘れてしまいがちです。何か対策はありますか

案件完了時に、簡単な一行メモだけでも残しておく習慣が有効です。四半期ごとの定点更新のタイミングをカレンダーに登録しておく方法もあります。

更新履歴の記録表は、どこまで詳しく書けばいいですか

案件名・最終更新日・掲載形式・次の見直し予定の4項目があれば十分です。詳しく書きすぎると、記録そのものが負担になり、続かなくなります。

複数のポートフォリオ(用途別)を作った方がいいですか

案件の幅が広い場合は、有効な選択肢です。ただし管理する手間も増えるため、まずは1つのポートフォリオを更新し続けることを優先し、必要になった段階で分ける判断でも遅くはありません。

掲載する順番に決まりはありますか

決まりはありませんが、直近の案件や、今アピールしたい業務範囲に近い案件を上位に置くと、読み手に伝わりやすくなります。古い順に並べるだけの構成は避けたほうが無難です。