01この記事でできるようになること
この記事を読むと、外注ディレクターを探し始めてから、最初の発注、そして継続的な関係づくりまでの一連の手順が分かります。切り出す業務の決め方、探す経路、最初のヒアリングで確認すべき項目、お試し発注の進め方までを扱います。
先に断っておきます。この記事の手順を踏んでも、相性の良い外注先が必ずしも見つかるとは限りません。探す経路や進め方を工夫することで、見つかる可能性を高めることが、この記事のねらいです。
02前提(対象読者・必要な準備)
対象読者は、外注化を検討する条件が揃い、実際に外注ディレクターを探し始めようとしている独立Webマーケターです。外注化に踏み切るべきタイミングそのものの見極め方は『独立Webマーケター、1人で回す限界と外注化のタイミング』で扱っています。まだ検討段階の場合は、先にそちらを確認することをおすすめします。外注化が続ける段階の全体像のどこに位置するかは『独立Webマーケターの単価改定とチーム化、事業を伸ばす道筋』で扱っています。
準備するものは2つです。1つ目は、切り出したい業務を言葉で説明できる状態にしておくことです。2つ目は、外注費として支払える金額の目安です。単価構造の中で外注費を吸収できるかどうかは、事前に試算しておいてください。
03手順1|切り出す業務を1つに絞る
最初から複数の業務を一度に切り出そうとすると、確認すべき点が増え、相性を見極めにくくなります。まずは1つの業務に絞ってください。手順が言語化しやすく、成果物の形が明確な業務ほど、外注先に品質を保ってもらいやすくなります。
業務を絞り込む際は、自分がこれまでどのような手順でその業務を進めてきたかを、簡単なメモにまとめておくと役立ちます。メモがあれば、後のヒアリングや発注時の説明がスムーズになります。
04手順2|探す経路を洗い出す
外注ディレクターを探す経路は一通りではありません。代表的な経路には、スクール時代につながった仲間への相談、フリーランス同士のコミュニティでの募集、クラウドソーシングサービスへの掲載、既存の取引先からの紹介があります。
経路ごとに特徴が異なります。スクール時代のつながりや既存取引先からの紹介は、すでに一定の信頼関係があるため、話が早く進みやすい傾向があります。一方で、対象となる人数は限られます。クラウドソーシングサービスは、対象となる候補者の数が多い一方、実力や相性を見極めるための確認作業がより重要になります。
1つの経路だけに頼ると、その経路で見つからなかった場合に次の手がなくなります。複数の経路を並行して動かし、見つかった候補から順に確認を進める進め方をおすすめします。
経路を組み合わせる際は、話が早く進みやすい経路から着手すると、探す期間を短くしやすくなります。スクール時代のつながりや既存取引先への相談を先に済ませ、返答を待つ間にクラウドソーシングサービスへの掲載を並行して進めるといった動かし方が現実的です。
05手順3|最初のヒアリングで確認する
候補が見つかったら、発注の前にヒアリングの機会を設けてください。ヒアリングでは、実績・稼働できる時間・コミュニケーションの取りやすさの3点を中心に確認します。
ヒアリング確認項目チェックリスト
- これまでに対応した業務の実績を、具体的な成果物や事例で示してもらえるか
- 1週間・1か月あたりに対応できる稼働時間の目安を聞けたか
- 連絡手段と、返信までの目安の時間を確認したか
- 依頼したい業務の手順を説明したうえで、対応可否の返答をもらえたか
- 報酬の希望水準を、こちらの想定と照らし合わせて確認したか
- 修正対応の範囲や回数について、認識をすり合わせたか
- 契約形態(単発・継続)についての希望を確認したか
この段階では、金額の交渉を急ぐ必要はありません。まずは実績と対応範囲の認識を揃えることを優先してください。金額の話は、認識が揃った後のほうが進めやすくなります。
ヒアリングの場では、相手に一方的に質問するだけでなく、自分側の状況も伝えてください。依頼したい業務の背景や、今後の発注量の見込みを共有しておくと、相手も対応可否を判断しやすくなります。双方向のやり取りは、後の信頼関係にもつながります。
チェックリストの項目すべてに完璧な回答が得られなくても、それだけで見送る必要はありません。実績が少ない候補者でも、コミュニケーションが丁寧で、対応できる時間帯が明確な場合は、お試し発注で見極める価値があります。
06手順4|お試し発注で相性を確認する
いきなり大きな案件を任せるのではなく、まずは小さな業務でお試し発注をすることをおすすめします。お試し発注の目的は、成果物の品質だけでなく、納期の守り方やコミュニケーションの取りやすさを含めた総合的な相性を見ることです。
お試し発注の結果は、合格・保留・見送りの3つに大別できます。合格であれば、本発注に進めてください。保留であれば、気になった点を具体的に伝え、改善が見られるかどうかで再度判断します。見送りの場合は、率直に理由を伝えたうえで関係を終えることも、双方にとって適切な対応です。
お試し発注の規模は、本発注の規模より小さくしつつも、実際の業務に近い内容にしてください。あまりに簡単すぎる課題では、実際の業務での相性を判断する材料になりにくくなります。
07手順5|発注条件を書面で明示し本発注する
お試し発注で相性が確認できたら、本発注に進みます。日本では2024年11月に、業務委託で仕事を受ける個人を保護する法律が施行されました。中小企業庁と公正取引委員会が案内するフリーランス新法の解説ページには、業務委託を出す側の対応も示されています。契約条件を書面や電磁的方法で明示することなどです。
口頭だけで発注を進めると、後になって金額や納期の認識がずれるトラブルにつながりやすくなります。発注書として何を明示すべきかは『独立Webマーケター、業務委託メンバーへの発注書の作り方』で扱っています。契約条項そのものの確認ポイントは『Webマーケター業務委託契約書、確認すべき条項の見極め方』も参考にしてください。
継続的に発注する相手であれば、個別の発注書に加えて、取引全体のルールを定める契約書を交わしておくと、案件ごとのやり取りが簡潔になります。単発の依頼であれば、発注書だけで条件を明示する運用でも十分な場合が多いといえます。
08手順6|継続的な関係を築く
本発注が始まった後は、フィードバックの仕方が関係の続きやすさを左右します。良かった点と改善してほしい点の両方を、できるだけ早いタイミングで具体的に伝えてください。フィードバックを溜め込んでから一度にまとめて伝えると、外注先が受け止めにくくなります。
WEBMARKSの案件獲得データでは、案件獲得者の70%以上が2案件以上を獲得しています(出典: WEBMARKS案件獲得データ集計、2020年〜2025年)。複数案件を並行するのが一般的である以上、外注先との関係も、1件で終わらせず継続的に発注できる関係へ育てていく視点が役立ちます。
支払いのタイミングを守ることも、関係を続けるうえで欠かせません。自分がクライアントに求めている対応と同じ水準を、発注先に対しても行う意識を持ってください。
発注量を安定させることも、関係を続けるうえで役立ちます。発注が不定期だと、外注先も他の仕事の予定を組みにくくなります。可能な範囲で発注のペースを一定に保つ、あるいは発注量の見通しを事前に共有しておくと、外注先にとっても計画が立てやすくなります。
09つまずきポイント(失敗例つき)
外注ディレクター探しと発注で、よくあるつまずきを整理します。
1つ目は、価格の安さだけで発注先を決めてしまう型です。価格だけで判断すると、実績や対応範囲の確認が不十分なまま発注することになり、後になって認識のずれが表面化しやすくなります。
2つ目は、お試し発注を省略していきなり大きな案件を任せる型です。相性を確認する機会がないまま本発注に進むと、途中で問題が見つかっても引き返しにくくなります。
3つ目は、発注条件を口頭だけで済ませてしまう型です。金額や納期、修正対応の範囲を書面や電磁的方法で残さないと、後で双方の認識がずれるトラブルにつながります。
4つ目は、複数の経路を試さず、1つの経路だけに固執してしまう型です。特定の経路で見つからなかった場合に次の手がなく、探す期間が長引く原因になります。
5つ目は、フィードバックを後回しにしてしまう型です。良い外注先ほど、早めのフィードバックを求めています。改善点を伝えないまま関係を続けると、期待とのずれが埋まらないまま固定化してしまいます。
10完了の確認方法(できたかどうかの判断基準)
この記事の手順が完了したかどうかは、次の3点で確認できます。1つ目は、切り出す業務が1つに絞られ、手順が言語化できていることです。2つ目は、お試し発注を経て、相性を確認できていることです。3つ目は、発注条件を書面や電磁的方法で明示し、双方が認識をすり合わせられていることです。
3つとも整っていれば、外注ディレクターを探して発注するまでの最低限は整った状態です。継続的な関係づくりは、発注が始まった後も続くプロセスだと捉えてください。
11FAQ
外注ディレクターは何人くらい候補を探せばよいですか
決まった人数はありません。ただし1人だけに絞って探すより、複数の候補と並行してやり取りするほうが、見つかる可能性は高まります。特定の1人に頼りきると、その人が離れたときに体制が崩れるリスクもあります。
お試し発注の報酬はどう決めればよいですか
本発注の水準と大きく変えず、実際の業務に近い内容と難易度で設定することをおすすめします。あまりに低い報酬で依頼すると、優先度を下げられてしまい、実際の対応品質を見極めにくくなります。
発注書は毎回作る必要がありますか
継続的に発注する場合でも、条件が変わるたびに書面や電磁的方法で確認しておくことをおすすめします。具体的な項目は『独立Webマーケター、業務委託メンバーへの発注書の作り方』で扱っています。
相性が合わないと感じたら、どう伝えればよいですか
率直に、かつ丁寧に理由を伝えることをおすすめします。曖昧なまま関係を続けると、双方にとって時間の無駄になりやすくなります。伝えにくい場合でも、次の依頼が続かない可能性がある旨は早めに共有してください。
クラウドソーシングサービスと知人紹介、どちらが安全ですか
一律にどちらが安全とは言えません。知人紹介はすでに信頼関係がある分、確認の手間は少なくなりますが、対象となる人数は限られます。クラウドソーシングサービスは対象が広い分、ヒアリングやお試し発注での確認がより重要になります。
外注先との契約は口約束でも成立しますか
法律上は口約束でも契約自体は成立し得ますが、後のトラブルを避けるためには書面や電磁的方法で条件を残しておくことを強くおすすめします。特にフリーランス同士の取引では、認識のずれがトラブルに直結しやすくなります。
複数の外注先を同時に育てるべきですか
案件量が増えてきた段階では、育てておくことをおすすめします。1人だけに依存すると、その人が離れたときに体制が崩れます。ただし最初から複数人を並行して探す必要はなく、まずは1人との関係を安定させてから、次の候補を探す進め方でも十分です。
発注してすぐに相性が悪いと分かった場合はどうすればよいですか
お試し発注の段階であれば、早めに見切りをつけて次の候補に切り替えることも選択肢です。継続を前提とせず、まずは小さく試すという進め方自体が、こうした早期の見極めを可能にしています。