「コンテンツ制作は単価が低い」という言い方をよく見ます。ただ、この言い方には比べる単位が抜けています。
記事1本の金額で比べているのか、月の合計で比べているのか、かけた時間で割った額で比べているのか。単位が変われば結論も変わります。単位を決めないまま高い低いを語ると、話は食い違います。
そして、調べる側から見ると厄介な事情がもうひとつあります。この話題で検索すると出てくる記事の大半は、発注する側が費用を決めるための記事です。読者として想定されているのは、払う側です。受け取る側が読むと、自分がどう見られているかは分かりますが、自分の手取りをどう動かすかは書かれていません。
この記事は、金額の相場を並べません。並べる代わりに、自分の数字を自分で測る手順と、単価が動く構造を扱います。記事の書き方そのものも扱いません。
こんなふうに調べていませんか
- コンテンツ制作は単価が低いと言われて、続けるか迷っている
- 相場の記事を読んでも、自分の案件に当てはまるのか分からない
- 単価を上げたいが、何から手をつければいいか見えない
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- コンテンツ制作の単価が伸びる構造を、記事単位と月単位に分けて説明できるようになります
- 自分の時間あたりの実入りを、自分の記録から測れるようになります
- 単価が動かない原因を、作業の種類・比較の単位・相手の選び方に切り分けられるようになります
結論30秒でわかる、この記事の結論
- 高い低いは、比べる単位を決めてからでないと決まりません。 記事単位と月単位では、見える景色が違います。
- 効いてくるのは金額そのものより、成果物が後から働き続けるかどうかという構造です。
- 相場の数字を追うより、自分の記録から測った数字のほうが、交渉でも判断でも使えます。
ここからは、会社員をしながら副業で案件を回している明石さんと、独立するかどうかを判断したい岸本さん、そして答える側の鈴木さんのやり取りをはさみながら進めます。
01Webマーケターのコンテンツ制作スキルは、案件の単価にどう効くんですか?
明石さん記事を書く仕事は単価が低いと、あちこちで言われています。実際そうなんでしょうか。
鈴木さんどの単位で比べているかによります。1本あたりで見るか、月あたりで見るか、かけた時間で割るか。 三つとも違う答えが出ます。単位を先に決めないと、この話は前に進みません。
金額が決まる場所を分解すると、少なくとも三つの層があります。
いちばん表にあるのが、作業そのものの量です。文字数、本数、修正の回数。ここは見積もりの土台になりますが、ここだけで比べると作業の交換になります。
その下にあるのが、任せられる範囲です。構成から任せられるのか、原稿だけなのか、公開後の手入れまで含むのか。範囲が広いほど、相手にとっての手間が減ります。
いちばん下にあるのが、後から効き続けるかどうかです。公開した記事が時間を置いても人を集めているなら、その成果物はまだ働いています。ここが効いてくると、単発の作業ではなくなります。
コンテンツ制作は、いちばん下の層に届きやすい仕事です。一方で、いちばん上の層だけで語られやすい仕事でもあります。 このずれが「単価が低い」という印象の正体です。
02単価の相場を調べても、Webマーケターのコンテンツ制作スキルに当てはまらないのはなぜですか?
本記事の準備として、このキーワードで出てくるページをブラウザで開き、想定読者と見出しを1本ずつ書き出しました(出典: WebMarketer Journal 編集部による上位記事の実測調査)。すると、大半が発注する側に向けて書かれた記事でした。見出しが「外注費用の決め方」「発注前に気をつけること」といった言葉で並んでいます。
だから当てはまりません。理由は三つあります。
測っている対象が違います。 発注側の記事にある数字は、多くの人に払われた額をならしたものです。ならした数字は、自分の条件を含んでいません。
含まれている作業が違います。 構成が含まれるか、取材があるか、修正が何度までか。条件が書かれていない数字は、比べる相手として使えません。
目的が違います。 発注側は下げたい、受注側は上げたい。同じ数字を見ても、使い道が反対です。
それでも読む価値はあります。 相手が何を見て金額を決めているかが書いてあるからです。ただし、そこにある額を自分の目標にはしないでください。
03自分の時間あたりの単価は、Webマーケターがどうやって測るんですか?
明石さん自分の数字を出せと言われても、そもそも何を数えればいいのか分かりません。
鈴木さん数えるのは時間だけで足ります。受け取った額は分かっているので、あとは分母を作るだけです。分母が無いから、他人の平均を借りることになります。
自分の数字は、記録さえあれば測れます。手順はこれだけです。
まず、対象を決めます。 直近で完了した案件をひとつ選びます。大きい案件である必要はありません。
次に、時間を記録します。 調べた時間、書いた時間、直した時間、やり取りにかかった時間。この四つを分けて記録するのが要点です。分けないと、あとで手を入れる場所が分かりません。
そして、受け取った額を合計時間で割ります。 これが自分の時間あたりの実入りです。相場ではなく、自分の条件で出た数字です。
最後に、同じ相手からもう一度受けたときと比べます。 二回目のほうが速くなっているなら、同じ額でも実入りは増えています。
割った結果が思ったより低くても、そこで止まらないでください。低いのは金額のせいとは限りません。 やり取りに時間がかかっているのか、調べ直しが多いのか、修正が読めていないのか。分けて記録していれば、どこが重いかはすぐ見えます。
041本あたりの単価と、月あたりの単価は、Webマーケターの何が違いますか?
同じ仕事でも、二つの数字はまったく違う動き方をします。
1本あたりは、他の仕事と並べやすい数字です。そのぶん、継続して受けている効果が消えます。二回目以降は速くなるのに、その分が数字に出てきません。
月あたりは、本数と期間が入るので、実際の入り方に近くなります。ただし、最初の案件の立ち上げにかかった重さが埋もれます。
どちらが正しいという話ではなく、使い分けです。 相手と条件をすり合わせるときは1本あたり、続けるかどうかを決めるときは月あたり。目的で選んでください。
そして、自分の中で使う数字は時間あたりにしておくと迷いません。1本あたりが同じでも、かかる時間が半分になれば実入りは増えます。この変化は、時間あたりでしか見えません。
ここを押さえると、判断が楽になります。新しい相手からの依頼を受けるかどうか、いまの案件を続けるかどうか。どちらも同じ物差しで比べられるようになるからです。物差しがひとつだと、迷う時間そのものが減ります。
逆に、相手と話すときは時間あたりを持ち出さないほうが進みます。相手は自分の予算を1本あたりか月あたりで組んでいるので、単位が合いません。自分の中では時間あたり、相手との会話では相手の単位。 ここを分けておくと、話が噛み合います。
05積み上がる成果物と、納品して終わる成果物は、Webマーケターの単価でどう違いますか?
岸本さん独立を考えているんですが、書く仕事は積み上がらないという話も聞きます。
鈴木さん積み上がるかどうかは、成果物の性質と、追いかけているかどうかの両方で決まります。作ったものが働いていても、働いていることを知らなければ材料になりません。
公開した記事は、公開した日で終わりません。時間が経ってから人を集め続けるものもあれば、すぐ役目を終えるものもあります。
差が出るのは、追いかけているかどうかです。公開して終わりにすると、自分が作ったものが働いていることに気づけません。気づいていないものは、次の相談でも交渉でも持ち出せません。
追いかけ方は難しくありません。作った記事の一覧を持ち、時間を置いてから数字を見に行くだけです。見に行った結果は、そのまま自分の実績の説明になります。
見に行けない場合もあります。相手のサイトの数字を共有してもらえない契約は珍しくありません。その場合は、公開した日と、そのとき狙っていたことを自分でメモしておいてください。 数字が見られなくても、狙いと結果を相手に尋ねる材料にはなります。
もうひとつ、積み上がるかどうかは題材でも変わります。時期が過ぎると読まれなくなる題材と、長く読まれる題材がある。同じ本数を書いても、後から効く量が違うのはここです。 選べる立場なら、長く読まれる題材を混ぜておくと、手元に残るものが増えます。
この習慣があるかどうかで、同じ本数を書いていても手元に残るものが変わります。 効果の測り方そのものは『データ分析スキル、Webマーケター案件でどこまで求められるか』もあわせて読むと整理しやすくなります。
06コンテンツ制作スキルにSEOを足すと、Webマーケターの単価の話はどう変わりますか?
足すと変わるのは、任せられる範囲です。金額の話が、範囲の話に置き換わります。
原稿だけを受けているとき、相手は題材を決める人を別に置いています。題材から任せられるようになると、その分の手間が減ります。減った手間は、金額の話をするときの材料になります。
広告の側を足した場合も、構造は同じです。同じ内容を別の場所へ出す、言い回しを変えて試す。ここまで受けられると、相手は依頼先をひとつにまとめられます。
どちらを足すかという判断は『SEOと広告運用、どちらのスキルの方が単価が伸びやすいか』で扱っています。組み合わせ方の考え方そのものは『複数スキルを組み合わせる、Webマーケターの単価アップ思考』にまとめています。
07専門ジャンルを持つと、Webマーケターのコンテンツ制作スキルの単価はどう動きますか?
動く理由は、代わりの見つかりにくさにあります。
書ける人が多い題材では、相手は比べる相手をすぐ見つけられます。専門の知識が要る題材では、比べる相手の数が減ります。減れば、条件の話は進めやすくなります。
ただし、専門を持つことには時間がかかります。近道になりやすいのは、前の仕事で触れていた分野です。用語が分かる、業界の事情が想像できる、読者の困りごとに心当たりがある。この三つがそろっている分野は、ゼロから始める分野より早く形になります。
もうひとつ、専門は狭くしすぎないほうが安全です。 狭すぎると、その分野の依頼が止まったときに逃げ場がありません。近い分野をふたつ持つくらいが、実務では扱いやすい形になります。
分野を選ぶときに見落とされやすいのが、書き手として自分が続けられるかという点です。専門性が高くても、調べるのが苦しい分野は本数が伸びません。本数が伸びないと実績も積み上がらず、結局そこから抜けにくくなります。
判断の材料としては、直近に書いた記事のうち、調べる時間が長かったものを並べてみてください。長かったのが「知らなかったから」なのか「読むのがつらかったから」なのかで、続けられるかどうかの見通しが変わります。前者は経験で短くなりますが、後者はあまり短くなりません。
08発注する側は、Webマーケターのコンテンツ制作スキルの単価をどこで決めていますか?
相手の決め方を知っておくと、材料の作り方が変わります。上位に並んでいた発注側の記事を読むと、決め方はおおむね次の流れでした。
範囲を決める段階では、金額より先に「何を頼むか」が決まります。ここで範囲が狭いと、そもそも高い金額は乗りません。
比べる段階では、条件の近い相手が並びます。ここで効くのは、実績の見せ方です。
手間を見積もる段階が、実は大きい。やり取りの往復が多そうな相手は、金額が同じでも敬遠されます。返信の速さと、確認事項の少なさは、ここで効いています。
続けられるか考える段階では、一定の質で出し続けられるかが見られます。ここが不安だと、単発で終わります。
四つのうち、受ける側が直接動かせるのは三つ目と四つ目です。ここを整えると、同じ実績でも条件の話が進みやすくなります。
具体的にできることは、そう多くありません。着手前に確認したいことをまとめて一度で聞く。納品時に、確認してほしい点を先に書いておく。
想定と違う方向になりそうなときは、進む前に一度止める。どれも作業の質とは別の部分ですが、相手の側では手間として金額に換算されています。
ここを整えると、もうひとつ効果があります。やり取りが軽くなると、こちらの時間も減ります。時間あたりの数字は、金額を動かさなくても上がります。 交渉より先に取れる改善が、ここにあります。
09単価交渉に持っていく材料を、Webマーケターはどこで作りますか?
交渉は、話術の問題ではありません。持っていく材料の問題です。材料は、日々の仕事の中でしか作れません。
- 直近の案件で、かかった時間を作業ごとに記録した
- 二回目以降で速くなった部分を、具体的に言える
- 過去に作ったものが、いまも働いていることを確かめた
- 相手のやり取りの手間を減らした場面を挙げられる
四つとも、過去の自分の仕事から取り出すものです。相場の数字を持っていく必要はありません。むしろ相場を持ち出すと、相手も相場で返してきます。
伝え方については『Webマーケターの単価交渉、実額の目安と自分で記録する方法』で扱っています。ここでは、材料が先で、言い方は後という順番だけ押さえてください。
10単価が上がらないとき、Webマーケターはどこを疑いますか?
岸本さん本数は増えているのに、手元に残る額があまり変わりません。これは値上げの相談をするしかないんでしょうか。
鈴木さん相談の前に、三か所だけ順に見てください。 三つとも外れていたら、そのとき初めて伝え方の問題として扱います。順番を飛ばすと、切り出しても話が通りません。
疑う場所は三つあります。上から順に確かめてください。
ひとつ目は、作業の種類です。 指示されたものを形にするだけの範囲に留まっていると、金額は作業の量で決まり続けます。範囲を広げる話をどこかで出す必要があります。
ふたつ目は、比べる単位です。 1本あたりだけを見ていると、速くなった分が見えません。時間あたりに換算すると、すでに上がっていることもあります。
みっつ目は、相手の選び方です。 範囲を広げられない相手ばかりだと、こちらが何を足しても行き先がありません。続けるかどうかを決めるのも、単価の話の一部です。
三つとも当てはまらないのに動かないなら、伝え方の問題である可能性が高くなります。その場合は、材料をそろえたうえで一度だけ切り出してみてください。
11副業と独立で、Webマーケターのコンテンツ制作スキルの単価の見え方は変わりますか?
変わります。見ている数字の種類が違うためです。
副業のあいだは、本業があるので、1本あたりの金額が生活に直結しません。そのぶん、経験を積む案件を選びやすい時期でもあります。この時期に記録の習慣を作っておくと、あとで効きます。
独立したあとは、月の合計が生活に直結します。ここで初めて、受けない判断も数字の一部になります。時間あたりが低い案件を受け続けると、他の案件を受ける余地が減るためです。
見え方は変わりますが、測り方は同じです。作業ごとの時間を記録し、受け取った額を時間で割る。副業のうちに手が慣れていれば、独立してからの判断が速くなります。
独立を考えている段階で、ひとつ先に確かめておくと安心なことがあります。いま受けている案件のうち、時間あたりが上位に来るものが何本あるか。 本数が少なければ、独立したあとに空く時間を埋める先がまだ足りていない、という見立てになります。
この確認は、覚悟の話ではなく数の話です。数で見えていれば、独立の時期を早めるか遅らせるかも、感情と切り離して決められます。
12単価の話を始める前に、Webマーケターは何を数えますか?
相手へ切り出す前に、手元で数えておくことがあります。
- 直近の案件で、作業ごとの時間を記録した
- 1本あたり・月あたり・時間あたりの三つを出した
- 二回目以降で速くなった部分を書き出した
- 過去の成果物が働いているかを確かめた
- いまの相手が、範囲を広げられる相手かを判断した
五つ全部そろえてから動く必要はありません。空いている項目が、そのまま今月の宿題になります。
この章のまとめ
相場の数字を探しに行く前に、自分の数字を作ってください。 自分の数字は、交渉でも判断でも、そのまま使えます。
13よくある質問
コンテンツ制作は単価が低いスキルですか
比べる単位を決めないと答えが出ません。1本あたりで見ると低く見えることがありますが、続けて受けている場合の月あたりや、二回目以降の時間あたりで見ると印象が変わります。自社には、この領域を切り出して金額を集計したデータはありません。
自分の時間あたりの単価はどうやって測りますか
直近で完了した案件をひとつ選び、調べた時間・書いた時間・直した時間・やり取りの時間を分けて記録します。受け取った額を合計時間で割ると出ます。分けて記録するのは、重い場所を特定するためです。
記事の金額はどうやって決まりますか
範囲・専門性・修正の回数など、案件ごとの条件で変わります。相場を示す社内の集計はありません。契約の前に、想定する分量と修正の上限をすり合わせておくと、あとで話をしやすくなります。
SEOも書けたほうが金額は上がりますか
任せられる範囲が広がるので、話の材料は増えます。ただし金額そのものが上がるかどうかは、相手と範囲によって変わります。 範囲を広げる前に、今の範囲で二回目が速くなっているかを確かめてください。
専門ジャンルはどう選べばいいですか
前の仕事で触れていた分野が近道になりやすいです。用語が分かる、事情が想像できる、読者の困りごとに心当たりがある。この三つがそろう分野は、ゼロから始めるより早く形になります。
単価が上がらないので、相場より安く受けてしまいます
安く受けること自体が悪いわけではありませんが、時間あたりで見て続けられるかを確かめてください。続けられない条件で受けると、他の案件を受ける余地が減り、結果として月の合計が下がります。
過去に書いた記事が働いているか、どうやって確かめますか
作った記事の一覧を持ち、時間を置いてから数字を見に行きます。相手のサイトの数字を直接見られない場合は、公開時に自分でメモを残しておくと、あとで話題にできます。確認できる範囲は契約によって変わるので、事前に相談してください。
交渉のときに相場の数字を持っていくべきですか
相場を持ち出すと、相手も相場で返してきます。自分の記録から出した数字と、相手の手間を減らした場面のほうが、話が具体になります。材料をそろえてから切り出してください。
14まとめ|今日やる3つのこと
金額の話は、相場の数字を集めるところからは始まりません。自分の記録から始まります。
今日この順でやります
直近で終わった案件をひとつ選ぶ
大きい案件でなくて構いません
かかった時間を、調べる・書く・直す・やり取りに分けて書き出す
思い出せる範囲で十分です
受け取った額を合計時間で割る
これが自分の数字の出発点になります
AI検索では、こう聞かれています
コンテンツ制作は単価が低いスキルですか?
「Webマーケターのコンテンツ制作スキルは、案件の単価にどう効くんですか?」の章で説明しています
自分の時間あたりの単価はどうやって測りますか?
「自分の時間あたりの単価は、Webマーケターがどうやって測るんですか?」の章で説明しています
単価が上がらないとき、どこを疑えばいいですか?
「単価が上がらないとき、Webマーケターはどこを疑いますか?」の章で説明しています
次に読むなら、この記事です