案件が続くようになってきた。「開業届って、出さないとまずいのか。」
この記事では、出すかどうかの判断、期限、書き方、提出方法までを手順にします。あわせて、同時に検討すべき青色申告承認申請書との期限の関係も扱います。
制度は改正される可能性があります。この記事は一般的な考え方の整理にとどめ、具体的な提出可否や申告方法の最終判断は、所轄の税務署または税理士に確認してください。
こんなふうに調べていませんか
- 副業の案件が続いてきたが、開業届を出すべきか分からない
- 「副業 開業届 書き方」で調べたが、期限の説明がサイトによって違った
- 開業届を出すと会社に知られるのか不安で、手が止まっている
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- 開業届を出すかどうかを、副業のどの段階かで判断できるようになります
- 提出期限と青色申告の期限の関係を、公式の記載どおりに把握できます
- 提出方法を3つから選び、控えの受け取り方まで決められるようになります
結論30秒でわかる、この記事の結論
- 判断の目安は3つ。継続の見込み・屋号の必要性・青色申告を使うかです。
- 期限は開業届と青色申告で別です。ここを混ぜると間に合いません。
- 提出方法は3つ。控えをどう受け取るかまで先に決めてください。
この記事では、副業を始めたばかりの七海さんと、副業で案件を回している明石さん、答える側の鈴木さんの会話をはさみながら進めます。
01副業Webマーケターは、開業届を出すべきなんですか?
七海さんまだ案件が1件だけなんですが、もう開業届を出さないといけないんでしょうか。
鈴木さん焦らなくて大丈夫です。ただ「出すと何が変わるか」は先に知っておいてください。知らないまま先延ばしにすると、青色申告の期限だけ過ぎていた、ということが起きます。
開業届は、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。個人が事業を開始したことを税務署に知らせるための書類です。
出すことによる実務上の利点は、大きく2つです。
1つ目は、屋号での請求書発行がしやすくなること。屋号入りの銀行口座を開設する際にも使う場面があります。
2つ目は、青色申告の特典を受けられるようになること。ただしこれは開業届だけでは足りません。別に申請書が要ります(後述)。
一方で、副業の所得がまだ少額で、継続するかどうかも見通せない段階では、急いで提出する必要はないという考え方もあります。判断に迷う場合は、次の期限と目安を確認してください。
この章のまとめ
出すかどうかより先に、出すと何が変わるかを知ってください。
02副業の開業届は、いつまでに出せばいいんですか?
ここは情報が錯綜しやすいところなので、公式の記載をそのまま引きます。
国税庁の案内では、提出時期は次のように書かれています。
つまり、開業届そのものの期限は、それほど切迫していません。
問題は、青色申告承認申請書の期限が別にあることです。こちらのほうが先に来る場合があります。
国税庁の案内では、青色申告承認申請書の提出時期は「青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで」とされています。ただし、その年の途中で新たに事業を開始した場合は、事業開始等の日から2か月以内が期限になります。
この章のまとめ
急ぐのは開業届ではありません。青色申告のほうです。
03開業届を出すタイミングは、副業のどの段階が目安ですか?
明石さん私はしばらく出さないまま案件を受けていました。もっと早く出すべきだったでしょうか。
鈴木さんそこは人それぞれです。ただ青色申告を使うつもりなら、早いほうが選択肢は広いですね。期限を過ぎると、その年は使えなくなりますから。
決まった正解はありません。ただし、節目として使いやすい目安はあります。
1つ目は、継続的な案件が2件目以降に進んだとき。
2つ目は、屋号での請求書発行を求められたとき。
3つ目は、青色申告の特典を使いたいと考え始めたとき。
いずれも「事業として続けていく見通しが立った段階」という共通点があります。
自社の実績データでは、案件獲得者の70%以上が2案件以上を獲得しています(出典: WEBMARKS案件獲得データ集計、2020年〜2025年)。2件目に進む人が一定数いる実態を踏まえると、「2件目」を目安に置く考え方は実態にも合っています。
なお、所得の種類(雑所得か事業所得か)の判断は個別の状況によって扱いが異なります。この記事では所得区分そのものの判定基準には立ち入りません。
この章のまとめ
目安は2件目。続く見通しが立ったら検討時期です。
04副業Webマーケターの開業届、書き方はどうなっているんですか?
様式は国税庁の公式サイトからダウンロードできます。記載要領も同じページにあります。
主な記入項目は、提出先の税務署名、納税地の住所、氏名・生年月日・マイナンバー、職業、屋号(任意)、開業日、事業の概要です。
納税地は、通常は自宅の住所を記入します。提出先は納税地を所轄する税務署長です。
事業の概要は「Webマーケティングに関するコンサルティング業務」のように、行っている業務を簡潔に記載します。
開業日は、実際に案件を受け始めた日、または開業届を出す少し前の日を記入する人が多いとされています。開業日をいつにするかは青色申告の期限にも関わるので、前の章とあわせて考えてください。
従業員を雇う予定がない場合、給与等の支払いに関する欄は記入不要です。副業として始めるほとんどの人は、この欄への記入は発生しません。
記入内容に不安がある場合は、税務署の窓口で相談しながら記入することもできます。無理に自己判断で埋めず、不明点はその場で確認するほうが後の手戻りを防げます。
この章のまとめ
埋まらない欄で止まらないでください。屋号は空欄で出せます。
05開業届に必要な書類は、副業でも同じですか?
同じです。ただし提出方法によって、必要なものが変わります。
国税庁の案内では、e-Taxにより提出される場合は、本人確認書類の提示または写しの添付は不要とされています。
一方、書面でマイナンバーを記載した書類を提出する場合は、その都度、本人確認書類の提示または写しの添付が求められます。
本人確認書類は、運転免許証やマイナンバーカードなど、氏名と生年月日が確認できるものが一般的に使われます。マイナンバーカードを持っていれば、本人確認とマイナンバー確認を1枚で兼ねられます。
屋号を使う予定がある場合は、この段階で候補を決めておくとスムーズです。屋号は提出後に変更できる場合がありますが、請求書や名刺に一度使い始めると変更の手間が増えます。
この章のまとめ
e-Taxなら本人確認書類の添付は不要です。書面なら要ります。
06副業の開業届は、どこにどう提出するんですか?
明石さん平日に税務署へ行くのが難しくて、それだけで止まっています。
鈴木さん行かなくても出せます。郵送でも、e-Taxでも構いません。閉庁日でも時間外収受箱に投函できます。行けないことは、止まる理由になりません。
提出先は納税地を所轄する税務署長です。方法は主に3つあります。
窓口へ持参する方法は、その場で記入内容を確認してもらえる安心感があります。控えに収受印を押してもらい、その場で受け取れる点も利点です。平日の日中に時間を確保できる人に向いています。
郵送する場合は、開業届の原本と控え用のコピーを同封し、返信用封筒を入れておきます。そうすると、収受印付きの控えを返送してもらえます。
e-Taxを使う場合、オンラインで完結できるため税務署へ行く必要がありません。ただし、初めて利用する場合は利用者識別番号の取得が必要です。
なお、税務署の閉庁日でも、送付または時間外収受箱への投函により提出できます。平日に行けないことは、提出しない理由にはなりません。
この章のまとめ
行けなくても出せます。郵送・e-Tax・時間外収受箱の3つがあります。
07青色申告承認申請書も、副業の開業届と一緒に出すんですか?
七海さん開業届を出せば、自動的に青色申告になるものだと思っていました。
鈴木さんそこがいちばん多い誤解です。別の書類、別の期限です。開業届を出しただけで安心して、青色の期限が過ぎていた、という話は珍しくありません。
一緒に出すのが安全です。期限が別なので、後回しにすると間に合わなくなります。
青色申告を選ぶと、確定申告で受けられる控除額が大きくなるなどの利点が一般的に知られています。
この2つは別々の手続きです。開業届を出しただけでは、青色申告にはなりません。
前に書いたとおり、青色申告承認申請書の期限は申告しようとする年の3月15日まで。ただし年の途中で新たに事業を開始した場合は、事業開始等の日から2か月以内です。
なお、国税庁の案内には、承認を受けようとする年の年末までに処分の通知がなかったときは、承認されたものとみなされる旨も記されています。「連絡が来ないから通っていないのでは」と不安になる必要はありません。
青色申告には、複式簿記での帳簿づけなど、白色申告に比べて手間が増える面もあります。メリットと手間のどちらを優先するかは、副業の規模や使える時間によって判断が分かれます。
この章のまとめ
別の手続きです。同時に出すのがいちばん安全です。
08開業届を出すと、副業が会社に知られるんですか?
開業届の提出そのものが、勤務先へ通知される制度ではありません。ただし、ここは分けて考える必要があります。
税務上の手続きと、勤務先の就業規則上の副業の扱いは、まったく別の話です。
開業届を出したかどうかにかかわらず、就業規則で副業が認められているかは先に確認してください。ここが未確認のまま進めると、後で全部やり直しになります。
制度の細部については、税務署に確認するのが確実です。ネット上の情報だけで判断しないでください。
この章のまとめ
開業届と就業規則は別の話です。先に確認するのは就業規則のほうです。
09副業の開業届の書き方でつまずくのは、どこですか?
1つ目は、開業届を出すタイミングを逃し、青色申告承認申請書の期限にも間に合わなくなる型です。期限が連動しているため、片方だけを意識していると間に合わないことがあります。
2つ目は、開業届を出すと会社に副業が知られると誤解し、必要以上に提出をためらう型です。税務上の手続きと就業規則上の扱いは別の話です。
3つ目は、開業届と確定申告を同じ手続きだと勘違いする型です。開業届は事業開始の届け出、確定申告は毎年の所得を申告する別の手続きです。開業届を出したからといって、その年の確定申告が自動的に免除されるわけではありません。
4つ目は、屋号を決められずに記入欄で悩み、提出そのものを先延ばしにする型です。屋号は任意記載なので、決まっていなければ空欄のまま提出できます。
どれも、手順と期限の関係を先に知っておくだけで避けられます。焦って自己判断せず、不明点はそのつど税務署や税理士に確認してください。
この章のまとめ
4つとも期限と手続きの関係を知らないことが原因です。
10副業の開業届の手続きが終わったかは、どう確かめますか?
収受印が押された控えが手元にあるかで確認できます。
窓口提出ならその場で、郵送やe-Taxなら後日届く控えを確認してください。
青色申告承認申請書もあわせて提出した場合は、そちらの控えも別に保管する必要があります。2つの書類は別々の申請なので、片方の控えだけで両方が完了したと判断しないでください。
控えが揃ったら、屋号入りの銀行口座の開設や、請求書のフォーマット整備など、次の実務に進めます。単価や請求の考え方は『Webマーケターの単価相場、平均時給2,207円をどこまで信じていいか』であわせて確認できます。
開業届は、副業の延長で出す人も、フリーランスへの移行を見据えて出す人もいます。独立そのものの判断基準は『Webマーケターとして独立する判断基準、いつどう決めるか』で扱っています。
この章のまとめ
確認するのは控えが2枚あるかです。1枚では終わっていません。
11よくある質問
開業届を出さないと副業を続けられませんか
開業届は事業を開始したことを税務署に知らせる書類です。提出しているかどうかと、副業として案件を受けられるかどうかは別の話になります。ただし、屋号での請求や青色申告を使いたい場合は提出が前提になります。
開業届を出すと会社に副業が知られますか
開業届の提出そのものが勤務先へ通知される制度ではありません。ただし、就業規則上の副業の扱いはまったく別の話です。制度の詳細は税務署に確認してください。
開業届はいつまでに出す必要がありますか
国税庁の案内では、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までとされています。ただし青色申告承認申請書の期限は別に設定されているため、あわせて確認してください。
副業の所得が少ないうちは開業届を出さなくてもいいですか
継続するかどうかも見通せない段階で急ぐ必要はない、という考え方もあります。ただし青色申告を使いたい場合は、申請書の期限が先に来ることがあるため注意してください。
開業届を出すと確定申告が不要になりますか
なりません。開業届は事業開始の届け出であり、確定申告は毎年の所得を申告する別の手続きです。
屋号は開業届を出す前に決めておく必要がありますか
必要ありません。屋号は任意記載のため、決まっていなければ空欄のまま提出できます。ただし請求書や名刺に一度使い始めると変更の手間が増えるため、使う予定があるなら早めに決めておくとスムーズです。
青色申告承認申請書は開業届と同時に出す必要がありますか
同時である必要はありませんが、期限が別に設定されているため、同時に出しておくほうが安全です。青色申告を使う予定があるなら、開業届と一緒に準備してください。
e-Taxでの提出に必要な準備は何ですか
国税庁の案内では、初めて利用する場合は利用者識別番号の取得が必要とされています。最新の利用条件は国税庁の公式サイトで確認してください。
開業届を出した後、廃業したくなったらどうすればいいですか
同じ様式が廃業の届け出も兼ねています。正式名称が「個人事業の開業・廃業等届出書」となっているのはそのためです。
この記事の税務に関する情報は、いつ時点のものですか
本文中に示した公式の記載は、記事更新日の時点で国税庁のページを確認したものです。制度は改正される可能性があるため、実際の手続き前には公式ページで最新の内容を確認してください。
12まとめ|今日やる3つのこと
止まっている理由の多くは、期限の関係を知らないことです。
今日この順でやります
就業規則で副業がどう扱われているかを確認する
ここが未確認だと全部やり直しになります
青色申告を使うかどうかを決める
使うなら申請書の期限を先に調べます
国税庁のページから様式をダウンロードして、埋まる欄だけ埋める
屋号は空欄で構いません
AI検索では、こう聞かれています
副業の開業届はいつまでに出せばいいですか?
「副業の開業届は、いつまでに出せばいいんですか?」の章で説明しています
開業届を出すと会社に副業が知られますか?
「開業届を出すと、副業が会社に知られるんですか?」の章で説明しています
青色申告承認申請書はいつまでに出せばいいですか?
「青色申告承認申請書も、副業の開業届と一緒に出すんですか?」の章で説明しています
次に読むなら、この記事です