01この記事でできるようになること
副業を1年以上続けたWebマーケターが、2年目・3年目に何を伸ばすかを年単位で見直せるようになります。単価や案件数だけでなく、スキルの幅、独立や法人化への意思、ペース配分まで含めた棚卸しの手順を扱います。
1年目は初案件の獲得や単価交渉といった個別の課題に追われがちですが、2年目以降は「次に何を積み上げるか」という視点が必要になります。この記事は、その視点を年単位で整理するための手順です。
副業を続ける期間が長くなるほど、日々の案件対応に慣れていく一方で、意識的に立ち止まって振り返る機会は減っていきます。年に一度、決まったタイミングで棚卸しをする習慣そのものが、2年目・3年目のキャリアを伸ばす土台になります。
02前提(対象読者・必要な準備)
対象読者は、副業Webマーケターとして1年以上活動を続けている人です。まだ1年に満たない場合は、まず『Webマーケター副業、月10万から30万へ伸ばす3つのレバー』で全体像を確認することをおすすめします。
準備するものは、これまでの案件記録と収入記録です。案件・クライアント別に記録していない場合は、記憶をたどって簡単なリストを作るところから始めてください。案件・クライアント別に収入を可視化する記録の仕組みは、他の記事で手順を扱っています。
03手順1|1年目を振り返る棚卸しをする
最初に、これまでの活動を4つの項目で棚卸しします。単価の推移、案件数、身につけたスキル、そして副業に使った時間の4つです。
単価と案件数は数字として振り返りやすい項目です。一方、スキルと時間は感覚的になりがちなので、できるだけ具体的に書き出すことを意識してください。例えば「SEOができるようになった」ではなく「競合分析からキーワード選定まで自分で提案できるようになった」といった形です。
棚卸しをする際は、うまくいったことだけでなく、うまくいかなかったこともあわせて書き出してください。断られた提案、途中で終了した案件、対応しきれなかった依頼なども、次の1年の判断材料になります。良かった点だけを振り返ると、同じ課題を繰り返してしまう可能性があります。
WEBMARKSの集計では、案件獲得者の70%以上が2案件以上を獲得しています。対象期間は2020年から2025年です(出典: 案件獲得データの集計)。1年目のうちに複数案件を並行して管理する経験を積んでいる人が多いことを踏まえると、2年目の棚卸しでは、案件数そのものより「その経験から何を学んだか」に焦点を当てる価値があります。
04手順2|2年目に伸ばす軸を1つ選ぶ
棚卸しが終わったら、2年目に優先して伸ばす軸を1つ選びます。候補は主に、単価をさらに上げる、専門性を深める、一部の業務を外注化するという3つです。
3つを同時に伸ばそうとすると、本業との両立で無理が生じやすくなります。まずは1つに絞り、他の軸は次の年に持ち越す考え方をおすすめします。案件を増やすか単価を上げるかという優先順位の考え方は、別の記事で詳しく扱っています。
専門性を深める方向を選ぶ場合は、ジャンルを絞るか総合的に対応するかの判断も関わってきます。『副業Webマーケター、ジャンル特化と総合化どちらが単価が伸びるか』もあわせて確認してください。
外注化を選ぶ場合は、自分の稼働時間を増やさずに対応できる案件量を増やす方向です。ただし、外注管理には別の負担が発生するため、時間に余裕がない2年目でいきなり着手するより、ある程度実績が積み上がった段階で検討するほうが無理がありません。外注化の具体的な手順は、案件の一部を外部へ振る手順を扱った別記事で確認できます。
どの軸を選ぶかは、1年目の棚卸しで見えてきた自分の課題と直結させて考えてください。単価交渉の材料が乏しいなら専門性を深める、時間が足りないなら外注化を検討する、といった対応関係を意識すると選びやすくなります。
軸を決めたら、その軸に沿った小さな行動目標も一緒に書き出しておくと、1年を通して振り返りやすくなります。例えば単価を上げる軸を選んだ場合は、契約更新のタイミングをカレンダーに書き込んでおく、といった具体的な行動です。目標を大きな方針だけで終わらせず、行動レベルまで落とし込むことが、2年目を実際に前進させる鍵になります。
05手順3|ポートフォリオとスキルシートを更新する
1年間の実績が積み上がった段階で、ポートフォリオとスキルシートを更新します。更新を怠ると、実際のスキルと対外的な見せ方にズレが生じ、単価交渉の場面でも不利になりがちです。
更新の頻度と項目については『副業Webマーケター、ポートフォリオを更新し続ける頻度と項目』で詳しく扱っています。2年目・3年目は特に、1年目には無かった「継続案件での実績」を追加できる時期でもあります。
継続案件の実績は、単発案件の実績とは違う説得力を持ちます。同じクライアントから任され続けているという事実そのものが、単価交渉や新規提案の場面で使える材料になります。実績の見せ方を工夫して相場を上げる考え方は、別の記事で扱っています。
06手順4|3年目に向けて、進路の意思を確認する
2年目が終わりに近づいたら、3年目以降の進路について、大まかな意思を確認しておきます。会社員を続けながら副業を伸ばすのか、いずれ独立を視野に入れるのか、という選択です。
収入が法人化を意識するラインに近づいている場合は『副業Webマーケター、法人化ラインに近づいたときの選択肢』が参考になります。独立を具体的に検討し始めた場合は、独立の判断基準を扱った別記事で確認できます。
3年目の時点で、まだ具体的な意思が固まっていなくても問題ありません。この手順の目的は、意思を確定させることではなく、選択肢の存在を認識しておくことです。
意思確認のタイミングを本業の状況と重ねて考えることも有効です。社内で管理職試験の対象になる時期や、異動の可能性がある時期が近づいている場合は、副業に割ける時間そのものが変わる可能性があります。管理職試験と副業継続のどちらを優先するかという論点は、別の記事で扱っています。
2年目・3年目の目標設定シート(架空の記入例)
以下は架空の例です。実在の企業名・個人名ではありません。年末の振り返りに使う想定のシートです。
| 項目 | 1年目の実績(架空) | 2年目の目標(架空) |
|---|---|---|
| 平均単価 | 時給換算2,000円台 | 契約更新時に単価交渉を実施 |
| 案件数 | 最大2件を並行 | 継続案件を1件、単発を柔軟に調整 |
| スキル | SEOの基礎対応 | 競合分析・提案の精度を上げる |
| 使った時間 | 平日夜と週末 | 稼働時間は維持し、質を高める |
目標は数値だけでなく、質的な変化も書き添えておくと、翌年の振り返りで比較しやすくなります。3年目の欄を追加で作り、2年目終了時点で見えている方向性を書き足していくと、年をまたいだ変化も一覧できるようになります。
07手順5|ペース配分を見直し、燃え尽きを防ぐ
収入や実績が伸びるほど、依頼を受けすぎてしまう傾向が出てきます。2年目・3年目の棚卸しでは、稼働のペースが本業や生活に無理を来していないかも確認してください。
本業と両立しながら稼働時間を伸ばす具体的な方法は、同じデスクの別記事で扱っています。伸ばす年もあれば、あえてペースを維持する年があってもよいという考え方を、この記事では前提にしています。
08つまずきポイント(失敗例つき)
2年目・3年目のキャリアの伸ばし方で、よく見られるつまずき方を整理します。
- 1年目の勢いのまま案件数を増やし続け、時間の限界に気づかず本業との両立が崩れる
- 単価・専門性・外注化のすべてを同時に伸ばそうとして、どれも中途半端になる
- ポートフォリオの更新を後回しにし、実績とスキルシートの内容にズレが生じる
- 3年目に差し掛かっても進路の意思確認をせず、なんとなく現状維持を続けてしまう
- 数字の伸びだけに注目し、ペース配分の見直しを怠って燃え尽きに近づく
これらの多くは、1年目の延長線上で2年目・3年目を過ごしてしまうことから起きます。年単位での棚卸しを習慣にすることで、早い段階で軌道修正できます。
特に、単価・専門性・外注化を同時に伸ばそうとする失敗は、意欲が高い人ほど陥りやすい傾向があります。1年目に勢いよく成果を出せた人ほど、2年目も同じペースで手を広げようとしがちです。しかし本業がある以上、使える時間には上限があります。1つの軸に絞ることは、成長のペースを落とすことではなく、成長を持続させるための選択だと捉えてください。
09完了の確認方法(できたかどうかの判断基準)
この記事の手順が完了したかどうかは、次の3点で確認できます。1年目の実績を4項目で棚卸しできたか、2年目に伸ばす軸を1つに絞れたか、そして3年目に向けた進路の選択肢を認識できているかです。
3点がそろっていれば、あとは年単位で振り返りを繰り返す段階です。棚卸しを毎年の習慣にすることで、次のフェーズへの移行判断もしやすくなります。
棚卸しの結果を毎年同じ形式で記録しておくと、数年分をまとめて見返したときに、自分の成長の傾向がより分かりやすくなります。単年だけでは気づきにくい変化も、複数年分を並べることで見えてくることがあります。
10FAQ
2年目・3年目という区切りに、厳密な意味はありますか
厳密な区切りではありません。活動を始めてからおおよそ1年、2年が経過した時点での目安として使ってください。半年ごとに区切って棚卸しをしても構いません。
単価・専門性・外注化以外の軸を選んでもいいですか
構いません。この記事で挙げた3つは代表的な候補であり、自分の状況に合わせて別の軸を選ぶことも可能です。人脈づくりや発信活動を軸に据える人もいます。
3年目になっても、まだ会社員を続けたい場合はどうすればいいですか
会社員を続ける選択も現実的な進路の1つです。無理に独立や法人化を検討する必要はなく、副業の範囲で伸ばし続ける道も十分に成立します。
棚卸しは1人で行うべきですか、誰かに相談すべきですか
どちらでも構いません。信頼できる相手に話しながら整理すると、自分では気づきにくい点に気づける場合もあります。同業のつながりがあれば、お互いの棚卸し結果を共有し合うことも参考になります。
1年目に案件数が伸びなかった場合、2年目の棚卸しはどう進めればいいですか
案件数が伸びなかった要因を振り返ることも、立派な棚卸しの一部です。数字の伸び以外の学びも記録に残してください。
棚卸しにかける時間の目安はありますか
一律の目安はありません。1〜2時間程度で4項目を書き出せる人もいれば、数日かけてじっくり整理する人もいます。自分が続けられるペースで構いません。
棚卸しの結果を、誰かに見せる前提で書くべきですか
見せる前提で書く必要はありません。まずは自分だけが分かる形で書き出し、必要になった時点で第三者に見せられるよう整理し直す進め方でも十分です。率直に書けることのほうが、振り返りとしての価値は高くなります。
ペース配分を見直すと、収入が減ることもありますか
一時的に減る可能性はあります。ただし、無理なペースを続けて体調を崩すリスクと比べて、どちらを優先するかは個人の状況によります。長期的に副業を続けることを重視するなら、一時的な収入の減少を許容する判断も選択肢の1つです。