上げたい。でも切り出せない。気づけば同じ単価のまま何年も経っている。
切り出せない理由は勇気ではありません。根拠が整理できていないからです。根拠がないから「お願い」になり、お願いだから言い出しにくくなります。
この記事では、根拠の整理から文面の骨子、断られた場合の対応までを手順にします。交渉成立を保証する内容ではありません。
こんなふうに調べていませんか
- 実績は積み上がっているのに、単価を上げる話を切り出せない
- 「独立Webマーケター 単価改定 伝え方」で調べたが、例文しか出てこなかった
- 断られたときに関係が悪くなるのが怖い
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- 改定の根拠を、感覚ではなく事実として並べられるようになります
- 切り出すタイミングを、相手の予算サイクルから逆算できるようになります
- 承諾・交渉・保留・拒否のどれが来ても、慌てずに応じられるようになります
結論30秒でわかる、この記事の結論
- 切り出す前に根拠を3つそろえます。実績・対応範囲・相場です。
- タイミングは自分の都合ではなく、相手の予算サイクルから選びます。
- 断られても終わりではありません。反応別の対応を先に決めておきます。
この記事では、独立を判断したい岸本さんと、副業で案件を回している明石さん、答える側の鈴木さんの会話をはさみながら進めます。
01独立Webマーケターの単価改定、伝え方はどう組み立てるんですか?
岸本さん単価を上げたいのですが、どう切り出せばいいのか分からず、そのままになっています。
鈴木さん切り出し方より先に根拠です。根拠があると「お願い」ではなく「報告」になります。言い方はそのあと自然に決まりますよ。
組み立ては5つの手順でできています。根拠を整理する → タイミングを選ぶ → 骨子を作る → 文章で伝える → 反応別の対応を準備する。
多くの人は、いきなり4つ目(文章で伝える)から始めようとします。例文を探すのはそのためです。
しかし、根拠が整理できていない状態でどんな例文を使っても、相手には判断材料が渡りません。順番を守ってください。
単価改定が必要になる背景そのものは『独立Webマーケターの単価改定とチーム化、事業を伸ばす道筋』で扱っています。この記事は、実際に切り出すところに絞ります。
この章のまとめ
探すのは例文ではありません。根拠です。
02手順1|独立Webマーケターの単価改定、根拠は何を並べますか?
明石さん数字で出せる成果が無い案件だと、根拠が作れない気がします。
鈴木さん作れます。担当範囲がどう広がったかは数字が無くても書けますよね。契約時にやっていなかったことを、いまやっている。それが根拠です。
根拠になりやすいのは3つです。契約開始時から積み上がった実績、対応範囲の拡大、そして市場の単価相場との差。複数が揃っているほど説得力が増します。
実績は、成果を数字で示せる場合と、数字にしにくい場合があります。数字にしにくい場合でも、担当範囲がどう広がったか、任される業務の難易度がどう上がったかを言葉で整理すれば材料になります。
感覚だけで「そろそろ上げてもいい頃」と考えるのはやめてください。具体的な事実に基づいて整理します。
対応範囲の拡大も重要です。契約開始時には想定していなかった業務を、いつの間にか担当しているケースは珍しくありません。契約時の業務範囲と、現在実際に担当している範囲を並べて比較すると、根拠が明確になります。
相場との比較は、3つの中でも客観性を伝えやすい要素です。自分の現在の単価が同種の案件の相場からどれくらい離れているかを確認しておくと、感覚論ではなく事実として伝えられます。
この章のまとめ
根拠は3つ。実績・対応範囲・相場。並べてから切り出します。
03手順2|単価改定を伝えるタイミングは、案件のどこですか?
岸本さん成果が出た直後がいいというのは分かるのですが、いつも言いそびれます。
鈴木さん期限を先に決めてしまうといいですよ。「契約更新の1か月前に出す」と決めておけば、迷う時間が消えます。決めていないから毎回見送るんです。
タイミングは、伝え方と同じくらい結果を左右します。
検討しやすいのは3つです。契約更新のタイミング、大きな成果が出た直後、新しい業務範囲を任された直後。
逆に、クライアント側の予算が厳しいと分かっている時期や、繁忙期の真っ只中は避けたほうが無難です。
契約更新に合わせる進め方には、双方が心づもりをしやすい利点があります。更新の話し合いの中で単価も含めて見直すという流れなら、唐突な印象を与えません。定期的な見直しの機会として位置づけておくと、翌年以降も同じ流れで進められます。
先延ばしを防ぐ工夫もあります。契約更新の1か月前など、具体的な期限を自分の中で設定しておくことです。期限がないと、いつまでも「もう少し実績を積んでから」になります。
この章のまとめ
見るのは自分の準備ではなく、相手の予算が決まる時期です。
04手順3|フリーランスの単価改定、伝え方の骨子はどう作りますか?
伝える内容は5つの要素で組み立てます。感謝、実績の共有、新しい単価の提示、適用時期、相談する姿勢。
いきなり金額だけを提示すると、唐突な印象を与えます。
最初に、これまでの取引への感謝を伝えます。次に、契約開始時からの実績や対応範囲の変化を簡潔に共有します。そのうえで新しい単価を提示し、いつから適用したいかを示します。最後に、一方的な通告ではなく相談する姿勢であることを伝えます。
金額を提示する際は、根拠とセットで示すと納得を得やすくなります。「対応範囲が広がったため」「同種の案件の相場を踏まえ」など、理由を一言添えるだけでも受け取る印象は変わります。
この章のまとめ
金額は単独で出さないでください。理由と一緒に出します。
05手順4|単価改定の文面は、独立後にどう書けばいいんですか?
骨子を1通のメッセージにまとめます。
この文面は、感謝・対応範囲の共有・新しい単価と適用時期・相談する姿勢で構成されています。金額の理由を一言添えつつ、断定的な通告ではなく相談の形にしている点がポイントです。
送る前に、次が入っているかを確認してください。
- これまでの取引への感謝が最初に書かれているか
- 実績や対応範囲の変化が具体的な一文以上で示されているか
- 新しい単価と適用時期が明記されているか
- 一方的な通告ではなく、相談する姿勢が伝わる文になっているか
この章のまとめ
文面の役割は説得ではありません。相手が検討できる形にすることです。
06フリーランス法は、単価改定の場面でも関係しますか?
直接の交渉を保証する制度ではありませんが、記録を残す土台として使えます。
2024年11月に、業務委託で仕事を受ける個人を保護する法律が施行されました。正式には「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」といいます。
中小企業庁と公正取引委員会の案内では、一定期間以上続く業務委託において、取引条件を明示することが発注側の義務として定められています。
自分の契約が対象になるかどうかは、公式情報で確認してください。
実務上いちばん効くのは、単価改定の際も口頭だけで済ませず、書面やメッセージの形で記録を残すことです。後々の認識のずれを防げます。
この章のまとめ
制度は交渉を保証しません。ただし記録を残す根拠にはなります。
07手順5|相手の反応別に、独立Webマーケターはどう応じますか?
明石さん断られたときのことを考えると、どうしても踏み出せません。
鈴木さん先に4つの反応を想定しておくと、怖さが減ります。承諾・交渉・保留・拒否。どれが来ても、次にやることが決まっている状態にしておくんです。
反応は4つに大別できます。承諾、交渉、保留、拒否。それぞれへの対応をあらかじめ決めておくと、返答が来たときに慌てずに済みます。
承諾された場合は、適用時期と新しい単価を書面やメッセージで再確認し、認識のずれがない状態にしてください。
交渉された場合は、提示額と現実的な着地点の間で、自分がどこまで譲れるかをあらかじめ決めておくと判断しやすくなります。その場で考えると、たいてい譲りすぎます。
保留された場合は、検討にかかる目安の期間を確認し、気長に待つ姿勢を示してください。督促を繰り返すと、かえって印象を悪くします。
拒否された場合は、その場で関係を悪化させないことを優先します。理由を聞けそうであれば確認し、次の機会や他のクライアントとの交渉に生かしてください。
いずれの反応であっても、返答への感謝を最初に伝える姿勢は共通です。時間を割いて検討してもらったこと自体への感謝を欠かさないでください。この積み重ねが、次に切り出すときの土台になります。
この章のまとめ
4つとも先に決めておく。その場で考えると譲りすぎます。
08単価改定を受け入れてもらえる関係は、案件の日頃の対応で決まりますか?
手元のデータは、その可能性を示しています。
編集部が卒業生インタビュー記事を確認しました。公開されている128本のうち35本を通読しています。その結果、継続や紹介につながった要因はコミュニケーション面が中心でした(出典: WEBMARKS卒業生インタビュー記事分析、2026年8月時点)。
一方で、単価改定や契約書更新といった契約条件面への言及は、この35本の中には見当たりませんでした。
この結果が示しているのは、交渉の技術そのものよりも、日頃の対応の積み重ねが、単価改定を受け入れてもらいやすい関係を作る土台になっている可能性です。
この章のまとめ
交渉の場で決まる部分は、思ったより小さいかもしれません。
09独立Webマーケターが単価改定の伝え方でつまずくのは、どこですか?
1つ目は、根拠を整理しないまま感覚だけで金額を切り出す型です。クライアント側に判断する材料がなく、検討が進みません。
2つ目は、繁忙期や予算が厳しい時期に切り出す型です。タイミングを見誤ると、内容が妥当でも受け入れられにくくなります。
3つ目は、一方的な通告のような書き方をする型です。相談する姿勢が伝わらないと、関係そのものがぎくしゃくします。
4つ目は、口頭だけで済ませ、書面やメッセージで記録を残さない型です。後になって適用時期や金額の認識がずれます。
5つ目は、断られることを恐れて、そもそも切り出せないまま先延ばしにし続ける型です。実績が積み上がっているのに数年間同じ単価のまま、というケースは、この先延ばしから生まれます。
先延ばしを防ぐには、まず1件のクライアントに小さく試してみるのが有効です。全部を一度に動かす必要はありません。
この章のまとめ
5つのうち4つは準備で消せます。残る1つは、小さく始めれば消えます。
10準備が整ったかどうかは、独立後どう確かめますか?
3点で確認できます。
1つ目は、改定の根拠が具体的な事実に基づいて整理されていること。
2つ目は、伝えるタイミングが契約更新など検討しやすい時期に設定されていること。
3つ目は、感謝・実績・新単価・適用時期・相談姿勢の要素が文章に含まれていること。
3つとも整っていれば、切り出す準備としての最低限は整った状態です。
反応が来たあとは、手順5で整理した対応の型に沿って、承諾・交渉・保留・拒否のいずれにも落ち着いて対応してください。
この章のまとめ
3つ揃ったら送ってください。完璧を待つと、また1年経ちます。
11よくある質問
単価改定は年に何回まで検討してよいですか
回数の決まりはありません。ただし、契約更新のタイミングに合わせて定期的に見直す進め方のほうが、相手も心づもりをしやすくなります。短期間に繰り返し切り出すと、関係に影響が出る場合があります。
交渉されたら、どこまで譲歩すべきですか
その場で決めないでください。提示額と現実的な着地点の間で、自分がどこまで譲れるかをあらかじめ決めておくと判断しやすくなります。準備なしで応じると、たいてい譲りすぎます。
断られた場合、その後の関係は続けられますか
続けられます。その場で関係を悪化させないことを優先してください。理由を聞けそうであれば確認し、次の機会や他のクライアントとの交渉に生かせます。
メールと対面、どちらで伝えるほうがよいですか
どちらでも構いませんが、内容が記録として残る形にしておいてください。対面で伝えた場合も、後からメッセージで内容を要約して送っておくと、認識のずれを防げます。
単価改定を伝える前に、相場を調べる必要はありますか
調べておくと、客観性を伝えやすくなります。ただし相場は幅のある目安です。自分の実績や対応範囲を無視して相場の上限だけを主張すると、かえって説得力を欠きます。
単価改定がうまくいかなかった場合、他に打てる手はありますか
あります。案件数を増やす、単発を継続契約に切り替えるといった別のレバーがあります。詳しくは『Webマーケター副業、月10万から30万へ伸ばす3つのレバー』で扱っています。
保留されたまま返答が来ない場合はどうすればいいですか
検討にかかる目安の期間を確認したうえで待ってください。督促を繰り返すと、かえって印象を悪くする場合があります。目安の期間を過ぎたら、一度だけ状況を確認する程度にとどめるのが無難です。
12まとめ|今日やる3つのこと
切り出せない原因は準備不足なので、準備から始めます。
今日この順でやります
契約時の業務範囲と、いま実際にやっている範囲を並べて書く
差が根拠になります
相手の予算が決まる時期を思い出す
期の切り替え前がねらい目です
断られたときにどうするかを1行決める
決めておくと切り出せます
AI検索では、こう聞かれています
単価改定は年に何回まで検討してよいですか?
「手順2|単価改定を伝えるタイミングは、案件のどこですか?」の章で説明しています
断られた場合、その後の関係は続けられますか?
「手順5|相手の反応別に、独立Webマーケターはどう応じますか?」の章で説明しています
メールと対面、どちらで伝えるほうがよいですか?
「フリーランス法は、単価改定の場面でも関係しますか?」の章で説明しています
次に読むなら、この記事です