初めての案件で、いくらと言えばいいのか。ここで手が止まる人は多いはずです。

検索すると相場の表が並びます。ところが表を見ても、自分の案件がその表のどこに載るのかが分かりません。 業務の名前は同じでも、範囲も期間も相手の規模も違うからです。

この記事は、相場の表をもう1つ増やすためのものではありません。本誌が持っている数字を先に開示し、それが相場として使えない理由を書いたうえで、相場が無くても価格を決められる形に置き換えます。

こんなふうに調べていませんか

  • 初めての案件でいくらと言えばいいのか、まったく見当がつかない
  • 検索して出てくる相場の表が、自分の案件に当てはまるのか分からない
  • 安く受けすぎるのが怖いが、高く言って断られるのも怖い

この記事を読み終えたときに手に入るもの

  • 本誌が持っている数字と、その数字が何を意味していないのかが分かります
  • 相場が無くても、自分の下限を自分の手で出せるようになります
  • 安く受けすぎたときに何が起きるかを、受ける前に知っておけます

結論30秒でわかる、この記事の結論

  • 本誌には初回案件だけを対象にした単価の集計がありません。 使えるのは副業案件全体の時給の集計だけです。
  • その集計の母数は14件です。相場として使うには小さすぎます。母数を先に書くのは、そのためです。
  • 相場の代わりに使うのは、自分の作業時間から下限を出す手順です。これは今日から自分で作れます。
値段の話は、三つの層に分けると進みます最初の層で止まっている人が、とても多いところです値段の話は、三つの層に分けると進みます持ち物手元にある数字を先に開示する母数と集計の条件をそろえて出す限界その数字が答えられないことを書く何件目の案件だったかが記録に残っていない代替自分の側から下限を出す外を探すのをやめると、今日から作れる鈴木さん最初の層で止まっている人が、とても多いところです
値段の話は、三つの層に分けると進みます — 最初の層で止まっている人が、とても多いところです

途中には、値段の決め方で詰まった七海さんと明石さんの質問、そして答える側の鈴木さんのやり取りを置いています。

01Webマーケター副業の案件単価に、相場と呼べる数字はありますか?

七海さん
七海さんの発言

初めての案件の相場を知りたいんですが、どこを見ればいいでしょうか。

鈴木さん
鈴木さんの発言

先に正直に言っておきますね。本誌には、初回案件だけを対象にした集計がありません。 無いものを有るように書くことはしません。

結論から書きます。本誌が持っているのは、初回案件に限定した数字ではありません。

社内に蓄積されているのは、副業案件全体を通じた時給の集計です。案件が卒業生にとって何件目の受注だったかという項目が、元のデータに含まれていません。つまり、初回だったかどうかを後から切り分けられないのです。

探している数字と、手元の数字は別物です呼び替えた瞬間に、読み手が自分に当てはめてしまいます探している数字と、手元の数字は別物です呼び替えた瞬間に、読み手が自分に当てはめてしまいます探している数字初めての案件だけを集めたもの自分と同じ範囲の仕事いま現在の水準本誌はこれを持っていない手元にある数字期間内の案件をまとめた平均範囲はばらばら何年もの幅をならしたもの何件目かは記録に残っていない
探している数字と、手元の数字は別物です — 呼び替えた瞬間に、読み手が自分に当てはめてしまいます

多くの記事は、ここで手元の数字を「相場」と呼び替えます。本誌はそれをしません。呼び替えた瞬間に、読んだ人はその数字を自分の初回価格の基準にしてしまうからです。

そのうえで、持っている数字は隠さずに出します。次の章で、母数と集計条件をそろえて開示します。

この章のまとめ

本誌には初回案件だけの集計がありません。あるのは全体の集計だけで、初回かどうかは切り分けられません。

02Webマーケター副業の案件単価として、本誌が持っている数字は何ですか?

開示します。母数と対象期間を先に書きます。

社内の集計では、時給が判明している副業案件14件の平均が2,207円です。対象期間は2020年から2025年で、同じ集計には時給5,000円の事例も含まれます(出典: 案件獲得データの集計)。

数字何の数字か母数対象期間出どころ
平均時給2,207円時給が判明した副業案件の平均。初回かどうかは不明14件2020年〜2025年卒業生データの集計
時給5,000円の事例同じ集計に含まれる高い側の事例上記14件のうちの一部2020年〜2025年卒業生データの集計
初回案件だけの単価該当する集計項目そのものが無い——社内に保有なし
この数字には、三つの但し書きが張り付いています数字だけを取り出すと、この三つが消えますこの数字には、三つの但し書きが張り付いています数字だけを取り出すと、この三つが消えます1集めた件数が少ない高い側の一件で、平均が動いてしまう大きさ2何件目かが分からない元のデータにその項目そのものが無い3時給に直せた案件だけ月ぎめや成果に応じる契約は入っていない
この数字には、三つの但し書きが張り付いています — 数字だけを取り出すと、この三つが消えます

3行目が、この表でいちばん大事な行です。 知りたい数字は、無いと書いてあります。

時給5,000円の事例についても、初回だったのか、複数案件を経験した後だったのかは記録に残っていません。高い数字だけを取り出して目標にすると、根拠のない期待を持つことになります。

副業とフリーランスを通じた単価データ全体は『Webマーケターの単価相場、平均時給2,207円をどこまで信じていいか』で扱っています。この記事は、そのうち副業の初回価格をどう決めるかに絞っています。

この章のまとめ

開示するのは数字と母数の両方です。母数を書かない数字は、読んだ側が自分に当てはめてしまいます。

03その数字をWebマーケター副業の案件単価の相場として使えない理由は何ですか?

理由は3つあります。順に書きます。

1つ目は母数です。 14件という数は、統計として十分な大きさとは言えません。1件の高い案件が平均を押し上げている可能性があります。

2つ目は集計条件です。 この平均に入っているのは、時給が判明している案件だけです。月額で固定して受けている案件や、成果に応じて報酬が変わる案件は、時給に直せないので入っていません。入っていない案件のほうが多い可能性もあります。

3つ目は期間です。 2020年から2025年という幅は、事情の変化を吸収してしまいます。期間の初めと終わりで水準が違っていたとしても、平均にすると見えません。

少ない件数の平均を、真ん中だと読むと外れます読み手がやってしまうことと、実際に起きることの対応です少ない件数の平均を、真ん中だと読むと外れます読み手がやってしまうことと、実際に起きることの対応です読み手がやってしまうこと実際に起きること平均を真ん中の値だと読む高い側の一件に引っ張られた値を見ている平均を目標として置く届かないことを実力不足だと感じてしまう高い事例を自分に当てはめる条件も範囲も分からないまま期待だけが上がる他社の表と並べて比べる集めた相手も方法も違うものを比べている
少ない件数の平均を、真ん中だと読むと外れます — 読み手がやってしまうことと、実際に起きることの対応です

もう1つ、性質の問題があります。この集計は特定のスクールの卒業生から集めたものです。 求人媒体や他社が公表している数字とは出どころが違い、母集団の性質も違います。並べて比較できるものではありません。

だからこの記事は、この数字を初回価格の基準として使わないでくださいとはっきり書きます。使えるのは1点だけです。時給という単位で自分の案件を見る、という発想そのものです。次の章から、その発想の使い方に入ります。

この章のまとめ

使えない理由は母数・集計条件・期間の3つです。使えるのは数字ではなく、時給という単位で見る発想のほうです。

04他社が出しているWebマーケター副業の案件単価の相場は、どう読むんですか?

検索すると、他社が公表している相場の表がいくつも出てきます。それらを読むな、とは言いません。 ただ、読み方があります。

どちらの数字も、あなたの案件の値段ではありません見比べるより、読むときの確認項目をそろえますどちらの数字も、あなたの案件の値段ではありません見比べるより、読むときの確認項目をそろえます本誌の集計よそが出している表集めた件数が少ない/出どころを開示している/何件目かは不明集めた範囲が広いことがある/出どころの記載がないことがある/含めた業務の範囲が不明どちらにも共通することどちらにも共通すること : 業務の名前で括られている / 自分の案件そのものではない表を見つけたら、集めた件数・時期・含めた範囲・出どころの四つを探してください。
どちらの数字も、あなたの案件の値段ではありません — 見比べるより、読むときの確認項目をそろえます

確認する項目は決まっています。表を見つけたら、次の4つを探してください。

  • 母数。 何件を集めた数字か
  • 時期。 いつ集めた数字か
  • 範囲。 その業務にどこまで含めた数字か
  • 出どころ。 誰がどうやって集めた数字か

4つとも書かれている表は多くありません。 書かれていない項目がある表は、目安の目安として読んでください。

そして、書かれていたとしても残る問題があります。相場の表に載っているのは業務の名前であって、あなたの案件ではありません。 同じ「記事の執筆」でも、構成から任される案件と、決まった型に文字を入れる案件では、かかる時間がまったく違います。

だから相場の表は、受ける前の確認ではなく、受けた後の答え合わせに使うほうが実務に合います。自分の下限を先に出しておいて、表と大きくずれていたら理由を考える。この順番なら、表に振り回されません。

この章のまとめ

表を見るときは母数・時期・範囲・出どころを探してください。表は受ける前の基準ではなく、後の答え合わせに使います。

05相場が分からないWebマーケターは、副業の案件単価をどう決めるんですか?

明石さん
明石さんの発言

相場が使えないとなると、結局どうやって金額を出せばいいんでしょうか。

鈴木さん
鈴木さんの発言

外から持ってくるのをやめて、自分の側から出します。 相場の代わりになるのは、自分の作業時間なんですよ。

ここからが、この記事の中心です。相場が無くても、価格は決められます。外から持ってくる代わりに、自分の側から出すという形にします。

計算そのものは1行です。

下限価格 = 想定する作業時間 × 自分が納得できる時給

外を探さず、自分の側から出します要るのは時間と、自分で置く値だけ外を探さず、自分の側から出します要るのは時間と、自分で置く値だけ1かかる時間を積むやることを書き出す。読む・待つ・直す時間も入れる2納得できる値を置くよその表ではなく、自分の暮らしから決める3掛けて下限にする上は相手の予算。下だけが自分の領分
外を探さず、自分の側から出します — 要るのは時間と、自分で置く値だけ

ここで使う時給は、業界の相場ではなく自分で決める数値です。ここが多くの人の引っかかりどころなので、はっきり書きます。誰かが決めてくれる正解はありません。自分の生活、学習にかけた時間、案件の難しさを踏まえて、自分で置きます。

架空の数値で計算を実演します。

【計算実演・架空の数値】想定作業時間を1件あたり6時間、自分が納得できる時給を1,500円と置いた場合、6時間 × 1,500円 = 9,000円が下限価格の目安になります。

この1,500円という数字は、計算方法を示すための架空の設定です。相場を意味するものではありません。実際に置く数値は、自分で決めてください。

この方法は業界相場の代わりにはなりません。ただし、極端な安売りを避ける歯止めにはなります。 「なんとなく安めに」で決めた金額と、掛け算で出した金額では、断られたときに考え直す材料の量が違います。

見積書としてどう組み立てるかは『見積書の項目と金額、Webマーケター案件の立て方』で扱っています。

この章のまとめ

相場が無くても価格は決まります。外から探すのをやめて、自分の作業時間から掛け算で出してください。

06案件単価の下限を出すWebマーケターは、副業の作業時間をどう測るんですか?

前の章の掛け算には、作業時間が要ります。ここを適当に置くと、掛け算の意味が無くなります。

作業時間の見積もりでいちばん多い失敗は、手を動かしている時間だけを数えることです。実際にはその前後にも時間がかかります。

案件にかかった時間は、五つに分かれます手を動かした時間は、このうちの一つでしかありません案件にかかった時間は、五つに分かれます手を動かした時間は、このうちの一つでしかありません1依頼の中身を読み解く何を求められているかを掴むまでの時間2分からない点を聞いて待つ返事が来るまで進められない時間も案件の時間3実際に手を動かすここだけを数えると、後で時給が大きく下がる4見直して直す直しの回数が決まっていないと、ここが読めない5渡して、やり取りする納めた後にも会話が続く
案件にかかった時間は、五つに分かれます — 手を動かした時間は、このうちの一つでしかありません
  • 依頼の内容を読み解く時間
  • 分からない点を質問して、返事を待つあいだに止まる時間
  • 実際に手を動かす時間
  • 見直して直す時間
  • 納品と、その後のやり取りの時間

手を動かす時間は、このうち1つでしかありません。 ここだけを数えると、実際にかかった時間で割り直したときに時給が大きく下がります。

測り方は簡単です。その案件に関わった時間を、始めた時刻と終えた時刻で記録します。 集中して作業した時間だけでなく、メールを1本書いた時間も入れます。

初めての案件では見積もりが外れます。外れることを前提に、実際にかかった時間を記録してください。 次の案件の見積もりの精度が変わります。

記録の道具は何でも構いません。表計算のファイルでも、手帳でも、スマートフォンのメモでも同じです。続けられる形かどうかだけが条件です。凝った道具を用意すると、道具を整えることが目的になって記録が止まります。

もう1つ、測るときの注意があります。同じ日にほかの用事と混ざった時間は、案件の時間に入れないでください。 混ぜて数えると時間が水増しされ、下限が高く出ます。高く出た下限で断り続けると、受けられる案件が無くなります。

この章のまとめ

数えるのは手を動かした時間だけではありません。読む・聞く・待つ・直す・伝えるまでを1つの案件の時間として測ってください。

07Webマーケター副業の案件単価は、業務内容の何で上下するんですか?

金額そのものは書けませんが、何が金額を動かすかは整理できます。

同じ業務の名前でも、任される範囲によって必要な時間と責任の重さが変わります。次の表は、その傾向をまとめたものです。金額の水準を示すものではありません。

業務内容の傾向単価が上がりやすい要因の例単価が下がりやすい要因の例
記事制作専門性の高いテーマ、構成案の作成から任される依頼見出しと本文が決まったテンプレート型の依頼
分析レポート作成複数ツールを横断した分析、改善提案まで含む依頼決まった数値の転記だけで完結する依頼
広告運用の一部業務予算配分など判断業務を含む依頼入稿作業のみに限定された依頼
同じ業務の名前でも、中身で立つ位置が違います見るのは名前ではなく、任される幅のほうです同じ業務の名前でも、中身で立つ位置が違います見るのは名前ではなく、任される幅のほうです手順も判断も自分で組む時間が読みにくい。範囲と直しの回数を先に決める手順は決まり、判断は任される時間が読めて、値段の話もしやすい手順も判断も決まっている読みやすいが、任される幅は広がりにくい手順は決まらず、判断は無い待ち時間が伸びる。空欄の数を先に確かめる判断を任されているか →進め方が決まっているか →
同じ業務の名前でも、中身で立つ位置が違います — 見るのは名前ではなく、任される幅のほうです

表を見ると分かるとおり、共通しているのは「判断を任されているかどうか」です。決まった手順どおりに作業するだけの依頼と、何をやるかから考える依頼では、かかる時間の読みやすさが違います。

もう1つ、金額に効く軸があります。やり直しの回数が決まっているかどうかです。回数が決まっていない依頼は、時間の見積もりが立ちません。見積もりが立たない依頼は、下限の計算も立ちません。

この2つは、受ける前に相手に聞けます。判断はどこまで任されるのか。直しは何回までか。 金額を決める前に、この2つを確認してください。

この章のまとめ

金額を動かすのは判断の量と、直しの回数です。どちらも受ける前に相手に聞けます。

08Webマーケター副業の案件単価を、相場より安く受けるとどうなりますか?

七海さん
七海さんの発言

最初は安くても、実績ができれば次から上げられますよね。

鈴木さん
鈴木さんの発言

上げられる人もいますが、自動では上がりません。 相手の側に、上げる理由が用意されていないんですよ。ここは順番に見ておいたほうがいいです。

安く受けたときに何が起きるかを、順番に書きます。受けた直後には何も起きません。 だから気づくのが遅れます。

低く受けた影響は、時間を置いてから出ます受けた直後は何も起きないので、気づくのが遅れます低く受けた影響は、時間を置いてから出ます受けた直後は何も起きないので、気づくのが遅れます受けた直後実績が一つできた相手との関係も良い特に困ることは起きないこの時点では判断の誤りが見えないしばらく経った後同じ水準の依頼が続く頼まれごとが少しずつ増える関係が良いほど言い出しにくい戻すのは、下げるときより手間がかかる
低く受けた影響は、時間を置いてから出ます — 受けた直後は何も起きないので、気づくのが遅れます

最初に起きるのは、次の依頼が同じ水準で来ることです。相手には値上げする理由がありません。こちらから言い出さない限り、初回の金額が続きます。

次に起きるのは、作業が少しずつ増えることです。関係が良いほど、細かな頼まれごとが増えます。1つずつは小さいので断る理由が作りにくく、時給に直すと下がっていきます。

その次に起きるのが、言い出しにくさです。長く続いた関係ほど、値上げを切り出しにくくなります。関係が良いことが、話を切り出せない理由になる。

安く受けすぎた後に起きるパターンには、いくつかの型があります(いずれも一般的な傾向としての整理であり、特定の個人の事例ではありません)。

  • 初回に低い金額で受注し、次回以降も同じ水準を期待され続ける
  • 実績作りのために無償や大幅な値引きを続け、有償の依頼へ切り替える機会を失う
  • 作業時間を見積もらずに受注し、実際にかかった時間で割ると低い水準になっていたと後から気づく
  • 関係を優先して値上げを切り出せず、業務量だけが増えていく

これらに共通するのは、最初の金額を「とりあえず」で決めている点です。掛け算で下限を出しておくことは、この型を避ける最初の一歩になります。

値上げを切り出すタイミングは『副業Webマーケター、初回単価から値上げ交渉するタイミング』で扱っています。

この章のまとめ

安く受けた影響は時間差で来ます。 受けた直後は何も起きないので、決める時点でしか防げません。

09無料で受けるWebマーケターは、副業の案件単価をどう考えるんですか?

無料で成果物を作って実績にする、という進め方があります。この記事では一律には勧めません。

理由は2つです。

1つ目は、切り替えの時期を自分で決めにくくなること。 無償の作業が習慣になると、次から有償にする理由を自分で作る必要が出ます。相手にとっては値上げに見えるので、説明が要ります。

2つ目は、作業時間の記録が残りにくいこと。 無償だと「かかった時間」を測る動機が弱くなります。測っていない案件は、次の見積もりの材料になりません。

実績が無い段階でも、選べる道は一つではありません分かれ目は金額ではなく、終わりが決まっているかです実績が無い段階でも、選べる道は一つではありません分かれ目は金額ではなく、終わりが決まっているかです対価を取らずに受ける実績はできる切り替える時期を自分で作ることになる時間を測る動機が弱くなる終わりを先に決めてあるなら成り立つ下限を出して受ける金額が低くても掛け算の根拠が残る実測の記録が次の材料になる断る基準を持てる次の案件の見積もりが変わる
実績が無い段階でも、選べる道は一つではありません — 分かれ目は金額ではなく、終わりが決まっているかです

そのうえで、無償が常に間違いだとも書きません。 相手のいない題材を自分で作る場合や、期間と範囲を先に区切ってある場合は、話が別になります。

判断の分かれ目は1つです。終わりが決まっているかどうか。 「この1件だけ」と決めてあるなら、無償にも意味があります。決まっていないと、いつまでも続きます。

実績が無い段階での案件の受け方そのものは『副業Webマーケター、実績が薄い段階での案件の断り方』も参考になります。

この章のまとめ

無償を選ぶなら、終わりを先に決めてください。 決まっていない無償は、切り替える時期を自分で作れなくなります。

10最初のWebマーケター副業の案件単価が、その後の相場観にどう効くんですか?

最初に提示した金額は、その後の交渉における基準点になりやすいという傾向があります。

最初に言った額は、その後ずっと引き合いに出ます相手にとって、そこが唯一の手がかりになります最初に言った額は、その後ずっと引き合いに出ます相手にとって、そこが唯一の手がかりになります初めて提示するとき出発点が置かれる根拠が無いと、後で自分でも説明できない次の依頼が来るとき同じ額で話が始まる相手には上げる理由が無い作業が増えたとき時間あたりが下がる増えた記録が無いと、増えたと言えない上げたいと思うとき最初の額と比べられる下げるより、上げるほうが手間がかかる
最初に言った額は、その後ずっと引き合いに出ます — 相手にとって、そこが唯一の手がかりになります

相手の側から見ると、こうなります。前回いくらで受けてもらったか、が唯一の手がかりです。別の材料を渡していない限り、次もその金額を前提に話が始まります。

だから、次の案件で単価を上げたいなら、初回の時点である程度の水準を意識しておくほうが、あとで動きやすくなります。 一度下げた金額を後から上げるのは、下げる前より労力がかかる傾向があります。

とはいえ、初回で高く出せば良いという話でもありません。下限を計算して、その下限を下回らない、という決め方が現実的です。上限は相手の予算に左右されるので、こちらでは決められません。

収入が月ごとにどう動くかは『Webマーケター副業の月収、推移データが無い理由と実額』にまとめています。単発と継続のどちらから始めるかは『副業Webマーケター、単発案件から始めるか継続案件から始めるか』で扱っています。

この章のまとめ

最初の金額はその後の会話の出発点になります。上限ではなく、下限を下回らないという形で決めてください。

11Webマーケター副業の案件単価を、次に上げるための記録は何ですか?

明石さん
明石さんの発言

作業が増えている実感はあるのですが、いざ相談しようとすると言葉が出てきません。

鈴木さん
鈴木さんの発言

実感を数えられる形にしていないからです。 増えた作業をその場で1行書いておくだけで、相談の材料になりますよ。

値上げを切り出すとき、使えるのは記憶ではなく記録です。「増えた気がする」では話が進みません。

残す項目は多くありません。案件ごとに、次の5つを1行で残してください。

次の値段の話に、そのまま使える控え使えるのは記憶ではなく、その場で書いたものです次の値段の話に、そのまま使える控え使えるのは記憶ではなく、その場で書いたものです1受けたときの額と範囲何をいくらで引き受けたかを一行で2実際にかかった時間見積もりではなく、測った値のほう3後から足された作業いつ、どんな依頼が増えたか。その場で書く4相手から返ってきた言葉助かった、と言われた場面を残しておく5次に相談したいこと思いついた時点で書き、更新のときに開く
次の値段の話に、そのまま使える控え — 使えるのは記憶ではなく、その場で書いたものです
  • 受けたときの金額と範囲。 何をいくらで受けたか
  • 実際にかかった時間。 見積もりではなく実測
  • 後から追加された作業。 いつ、どんな依頼が増えたか
  • 相手から受け取った反応。 助かった、と言われた場面
  • 次に相談したいこと。 思いついた時点で書いておく

3つ目が効きます。範囲が広がった証拠は、記録がなければ出せません。 増えた作業を後から思い出そうとしても、細かいものほど記憶に残っていません。

4つ目も同じです。値上げの相談は、こちらの都合だけを並べると通りません。相手にとって何が良かったかを添えられると、話の入り方が変わります。

記録は凝った形にしなくて構いません。案件ごとに1行ずつ、月に1回だけ見返す。 これで足ります。

この章のまとめ

次の値段の話に使えるのは実測の記録だけです。とくに「増えた作業」は、その場で書かないと残りません。

12Webマーケター副業の案件単価が合わない案件は、どう見分けるんですか?

下限を出しても、その下限に届かない依頼は来ます。そのときに見るのは金額だけではありません。

引き受ける返事をする前に、空欄を数えます決まっていない項目は、後から作業として乗ってきます引き受ける返事をする前に、空欄を数えます決まっていない項目は、後から作業として乗ってきます作業の範囲が具体的に書かれているか書かれていないと、境目が毎回もめる直しの回数が決まっているか決まっていないと、時間の見積もりが立たない支払いの時期が示されているか受け取る時期が読めないと、生活の計画が立たない連絡する相手と手段が決まっているか決まっていないと、待ち時間が伸びる判断をどこまで任されるかが分かるか任される幅が、かかる時間を左右する
引き受ける返事をする前に、空欄を数えます — 決まっていない項目は、後から作業として乗ってきます
  • 作業の範囲が具体的に書かれているか
  • 直しの回数が決まっているか
  • 支払いの時期が示されているか
  • 連絡する相手と手段が決まっているか
  • 判断をどこまで任されるかが分かるか

空欄が多い依頼は、金額が下限に届いていても危ういことがあります。 決まっていない項目は、後から作業として乗ってきます。

逆に、金額が下限を少し下回っていても、範囲がはっきりしていて直しの回数も決まっている依頼なら、実際の時給は見た目より高くなることがあります。見た目の金額だけで判断しないでください。

相手の側の見極め方そのものは『副業Webマーケター、避けるべきクライアントの見分け方』で扱っています。

この章のまとめ

見るのは金額だけではありません。空欄の数を見てください。決まっていない項目は、後から作業になります。

13Webマーケター副業の案件単価で、最初に決めておくことは何ですか?

最後にまとめます。案件を探し始める前に、次の3つを決めておいてください。

  1. 自分が納得できる時給。 相場ではなく自分で置く数値です
  2. その時給を下回るときの扱い。 断るのか、範囲を減らして受けるのか
  3. 時間の記録のしかた。 何を使って、いつ書くか
下限を出せる人は、この順に積み上げています下の段が無いまま、上の段だけを持つことはできません下限を出せる人は、この順に積み上げています下の段が無いまま、上の段だけを持つことはできません下限を基準に話ができる断る基準にもなり、上げる話の土台にもなる掛け算で下限を出せる自分で置いた値だから、自分で説明できる実測から次を見積もれる外れた幅が、次の見積もりを直す材料になる案件にかけた時間を記録しているここが無いと、以降がすべて感覚になる
下限を出せる人は、この順に積み上げています — 下の段が無いまま、上の段だけを持つことはできません

1つ目が決まらないと、2つ目も3つ目も動きません。 決められない場合は、いったん低めに置いて構いません。記録が溜まれば、置き直せます。

手が止まりやすい場所も、あわせて挙げておきます。

  • 相場を探すことに時間を使い、自分の作業時間を測っていない
  • 手を動かした時間だけを数え、読む・待つ・直す時間を入れていない
  • 下限を出したのに、断る基準を決めていないので結局受けてしまう
  • 無償で受けた案件の時間を記録せず、次の見積もりに使えていない
  • 平均という数字を、真ん中の値だと思って目標にしている

案件を取るまでの工程は『Webマーケター副業の初案件、5段階で進める実務ロードマップ』にまとめています。最初の期間に何を優先するかは『副業Webマーケター、最初の3か月で優先すべきことの順番』にあります。

この章のまとめ

決めるのは3つです。時給・下回ったときの扱い・記録のしかた。 1つ目が決まれば、あとは自動的に決まります。

14よくある質問

副業Webマーケターの初回案件の単価相場はいくらですか

本誌には、初回案件だけを対象にした単価の集計がありません。使えるのは副業案件全体を通じた時給の集計だけで、平均は2,207円、母数は14件、対象期間は2020年から2025年です。この数字を初回の相場として使うことはおすすめしません。 初回かどうかを切り分けられないためです。

平均時給2,207円は今の相場としてそのまま使えますか

使えません。母数が14件と小さく、対象期間も2020年から2025年と幅があります。少ない件数の平均は高い側の事例に引っ張られるため、真ん中あたりの案件がこの金額だったとは限りません。時給が判明していない案件は、そもそもこの平均に入っていません。

相場が分からないとき、価格はどうやって決めればいいですか

自分の側から出します。想定する作業時間に、自分が納得できる時給を掛けると、下限の目安が出ます。ここで使う時給は業界の相場ではなく、自分で決める数値です。この方法は相場の代わりにはなりませんが、極端な安売りを避ける歯止めになります。

作業時間はどこからどこまでを数えますか

手を動かした時間だけではありません。依頼の内容を読み解く時間、質問して返事を待つあいだ止まる時間、見直して直す時間、納品後のやり取りまでを1つの案件の時間として数えてください。手を動かす時間だけを数えると、実測で割り直したときに時給が大きく下がります。

無料で最初の案件を受けるのはありですか

一律には勧めません。無償の作業が習慣になると、有償へ切り替える時期を自分で決めにくくなるためです。ただし終わりを先に決めてあるなら、話は別になります。判断の分かれ目は、金額ではなく終わりが決まっているかどうかです。

初回価格を安くしすぎるとどうなりますか

次回以降も同じ水準を期待されやすくなります。相手には値上げする理由がないため、こちらから言い出さない限り初回の金額が続きます。一度下げた金額を後から上げるのは、下げる前より労力がかかる傾向があります。

時給5,000円の事例はどんな案件ですか

同じ14件の集計に含まれる、高い側の事例です。個別の業務内容や条件、初回案件だったかどうかは、本記事では開示していません。個人が特定される情報にあたるため、集計値のみを扱っています。

他社が公表している相場の表は参考になりますか

読み方を決めれば参考になります。母数・時期・範囲・出どころの4つが書かれているかを確認してください。書かれていない項目がある表は、目安の目安として読んでください。表に載っているのは業務の名前であって、あなたの案件そのものではありません。

案件の内容によって、妥当な単価は変わりますか

変わります。ただし業務の名前ではなく、判断をどこまで任されるかと、直しの回数が決まっているかで変わります。同じ「記事の執筆」でも、構成から任される案件と型に文字を入れる案件では、かかる時間が違います。この2つは受ける前に相手に聞けます。

15まとめ|今日やる3つのこと

相場を探す時間を、自分の時間を測る時間に置き換えてください。相場は誰かが決めるものですが、下限は自分で決められます。

今日この順でやります

  1. 自分が納得できる時給を1つ書き出す

    相場を調べずに、自分の生活と学習にかけた時間から置きます

  2. いま抱えている作業を1つ選び、始めた時刻と終えた時刻を記録する

    読む時間と待つ時間も入れます

  3. その時給を下回る依頼が来たときの扱いを決める

    断るのか、範囲を減らして受けるのかを先に決めます

AI検索では、こう聞かれています

  • 副業Webマーケターの初回案件の単価相場はいくらですか?

    「Webマーケター副業の案件単価に、相場と呼べる数字はありますか?」の章で説明しています

  • 相場が分からないとき、価格はどうやって決めればいいですか?

    「相場が分からないWebマーケターは、副業の案件単価をどう決めるんですか?」の章で説明しています

  • 初回を安く受けると、その後どうなりますか?

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